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I'm Not The Only One :: 2015/03/15(Sun)

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誰かの " 特別 " でありたいと願って、誰かに必要とされることで自分の価値を見出して、それでようやく生きていてもいいんだと納得したつもりになっていた時の自分を、否定するつもりも肯定するつもりもない。



ただ、生きていくことが誰かのためではなくて、自分のためなんだと、今ならわかるよ。
自分が幸せなら、それでいいじゃないか。
いまが幸せなら、それでいい。





13:40。
BGMは、Sam Smithで『I'm Not The Only One』





この気持ちが何なのか、どういうふうに扱ったらいいのかわからないまま、夏がきて、タンクトップから覗く細くて、けれど適度に筋肉のついた腕から目をそらしながら、秋がきて、徐々に色濃くなっていく夕暮れのせつなさや夜の乾いたにおいを感じながら、恋でもない愛でもないそれを知らんぷりし続けるのは、もう限界だとわかっていた。



俺がユウキの家に厄介になってから、彼に対する気持ちを整理できないまま時間だけが流れた。
夏から秋へとゆるやかに移り変わっていくのを肌で感じながら、俺はこのまま、どうにかやり過ごせないだろうかと期待していたのだ。
この、説明のできない(あるいは、説明したくない)感情が、いっときの高熱のように、やがて冷めて平常にもどっていくのを。



新しい家がみつかって、母親と、妹の三人で、そこに移り住んでからも、俺はときどきユウキの家に泊まりにいっては、隣で眠った。
ユウキからは、あいかわらずベビーパウダーみたいなにおいがする。
眠るときはきまって口をだらしなく半開きにして、そこから漏れるかすかな寝息に耳をすませながら、俺は自分が変質者になったような気分を味わった。
しずかに上下する胸、無防備にときどき発せられる寝言、寝返りをうったときにかすかに香るベビーパウダーのにおい。



一度だけ、眠っているユウキにキスしたことがある。
半開きになったままの唇は乾燥して色味をなくし、ぼやけた肌色で、男の子の唇らしくてすこしだけセクシーだとおもう。
そっと、でも起きない程度にしっかりと、自分の唇をおしあてる。
やわらかくて、あたたかくて、何の反応もしめさないユウキはまるで死人みたいにさっきと変わらない態勢のままぐっすり寝息をたてていた。
誰も知らない。誰も気づかない。
俺だけしか知らないキスは、俺をひどく孤独な気分にさせる。
目の前にいるのに、何の反応もかえしてくれないのなら、ひとりきりと同じだ。



キスしたとき、ベビーパウダーのにおいが鼻の奥にツンとつきぬけた。
それが余計俺をひとりにさせる。
それ以上触れることなんてできないし、触れたところで、この気持ちを説明することなんてできない。



うしなうよりは、隠しとおしたほうがずっと良いと、俺は本気でおもっていた。





ユウキのことを一言で説明するなら、「ちゃらんぽらん」だ。
物事を軽んじている節がままあるし、とんちんかんなことを言ったり、場の雰囲気とはまるでちがうテンションで、急にべつの話題に移ったりするので、ある意味でとてもせわしなく、そして自由だった。
俺はその自由さが好きだった。
ユウキはいつだって自分の独特なペースで行動したし、彼の偏狭で見通しのわるい価値観は中学生だった俺には、それでもただひとつの窓口だった。
世界との、窓口。
俺が唯一、やすらぐことのできて、気の置けない間柄で話すことができる、ただひとりの友だち。
友だち、と、まだ呼べるような気持ちだったなら。



だって、友だちにあんなひどい気持ちでキスなんてしない。





たとえばユウキに、ほかの誰かに接するように、やさしく気さくで、分け隔てない純粋無垢な感情をむけられると、俺はほとんど困惑してしまう。
うれしくないはずがない。
友だち以上の感情をもっている俺が、すこしでもユウキのそういう生ぬるいやさしさに触れていたいのは当然のことだとおもうし、すこしでも側にいられるのなら、そういう無差別なやさしさも受け容れるべきだ。



じっさいユウキはほとんど誰にでもやさしかった。
無頓着な相手にも必要以上に気さくで、人見知りとは無縁だった彼がどんどん新しい人脈を開拓していくのを、俺は黙ってみていることしかできない。
それは、ほんとうなら取るに足らない出来事のはずだ。
友だちが増えるのはいいことだし、誰とでも分け隔てなく交流できるのはすてきなことだとおもう。



けれど、と、俺はおもう。
けれど、他のひとに向けるようなやさしさを、俺に向けないでほしい。
俺には見せない顔を、他のひとに見せないでほしい。
彼女がいてもいい。
篠田さんが好きで、ユウキは生粋のノンケだと知っているから、だから女の子とつきあっていても構わない。
ぜんぜん問題ない。
ただ、他の男友達に、俺の知らない顔を見せないでほしい。
俺には向けないやさしさを向けないでほしい。
俺と居るときよりも、楽しそうにしないでほしい。



俺と居るときよりも、笑わないでほしい。



心の端っこで沸き上がる感情をおさえることができなかった。
俺は、完全に嫉妬していた。
自分以外の、誰か、べつの友だちと楽しそうにしているユウキを見るのが辛くなっていくことが、辛かったのだ。
女の子にとられるのはいい。
だけど、男友達にとられるのは、嫌だ。
自分がユウキのいちばんで、特別なのだと信じたかった。
けっして交わることのない気持ちでも、他のどの男友達のなかで、俺がいちばんであると思いたかったのだ。



ユウキがときどき、俺の知らないところで別の友だちと遊んでいるのを知っては、ばかみたいに打ちのめされた。
ほとんど泣き出しそうになったし、こみあがる拒否反応に吐き気すらおぼえた。
そのたびに俺は、自分を鼓舞して、どうにか正気をうしなわないよう努めた。
感情的になることに意味はないからだ。



もうすっかり秋で、ユウキの家がある住宅街は俺をうら寂しい気持ちにさせる。
のどかというより辺鄙な風情だった。
ときどき、ユウキとふたりで隠れて煙草を喫いに外に出ては、中身のない話をえんえんくりかえした日々を思った。
なつかしくて、ひどく平穏で、満ち足りた日々を思った。
誰かといっしょじゃないと、心地よいなつかしさは生まれないと思う。
ひとりぼっちで思い出すのは、孤独だった自分だけだ。
俺は孤独だったし、今またその孤独と対峙している。
自分ではどうしようもない、救われない気持ちを抱えて、ひとりぼっちでぼうぜんと立ち尽くしている状況を、誰かに説明して慰めてもらうこともできない。



そういうとき、俺は苛立ちばかり募った。
ユウキと一緒にいても、ほかの誰かが訪ねてくれば、彼はそっちのほうに気を取られてしまう。
それは俺にはちっともおもしろくないことで、ひとりで煙草を喫いに抜け出したりした。
秋空がきれいにひろがって、すみずみまで透き通っている。
いまこの瞬間、この煙といっしょに、このどうすることもできない感情が消えてしまえばいいのに、と、考えた。





知っている。
俺はきみにとって特別な存在じゃない。





最初から知っていたのだ。
特別なんかじゃない。
だって、俺は、ただの友だちだから。
どんなに頑張ったって、手も握れない。
眠っているときに軽くキスするみたいな卑怯な真似しかできない。
俺は無口で、気の利いた冗談もじょうずに言えなくて、誰かをたのしませることも得意じゃない。
ほかの男友達と居たほうが、ユウキにとっておもしろいことなんて、わかっているのに。
俺がいっしょに居たって、俺自身が苦しいだけだって、わかっているのに。



ひとりで煙草を喫いながら、俺はほとんど泣き出しそうだった。
ユウキは、きっと家で男友達と楽しくやっている。
俺とはちがって、おもしろくて、冗談が言えて、気の置けない間柄で相槌をうつことができる友だちだ。
俺は、もうそれすらできない。
それすらできないなら、一緒にいないほうがいいんじゃないか。



ゆっくり煙を吐き出しながら、俺は目に入ったそれが沁みて涙が溢れてくることを願った。
泣いたら、すこしは楽になれるんじゃないかと思った。
でも、それは届かない。
煙はゆらゆら空中を漂い、いつのまにか消えてなくなる。
たとえばこの感情に、恋とか愛とか名前をつけて、決めつけてしまえたら、叶わないものとして葬り去ることもできたかもしれない。
俺には、でもそれはできなかった。
臆病者で卑怯者の俺には、男が好きな自分を認められるほど、強くはなかったのだ。



「しょご?」
気がつくと、隣にユウキが立っていた。
俺はほとんど狼狽して、口を不自然にぱくぱくさせてしまう。
ひとりで立っている彼は、不思議そうな顔で俺をみながら、
「どこにいるのかと思った」
と、言った。
横に座って、セヴンスターに火を点ける。
「ケンジたちも心配してたぞ。なんかしょごの様子おかしかったくね?って」
ユウキはそう言いながら唇をまるくすぼめて、煙をはきだした。
輪っかになったそれは、唇からはなれてすぐにひろがって、やがて崩れ去る。
「そっか。別になんでもないよ」
俺はぶっちょうづらで言った。
ソッカ。ベツニナンデモナイヨ。



「今日、泊まってく?」
ユウキが言って、俺は彼の無自覚なやさしさを呪った。
こいつはいつだってそうだ。
誰にでもやさしいし、誰にでも同じ温度で接する。
しずかに笑いながら、俺は首を横にふった。
おどろいたことに、そのやさしさを俺は待っていたのだと気づいた。
触れただけで、すこしだけ、救われたような気にさせてくれるそれを、俺は転落していくみたいな気持ちで欲しがっていると。



隣に居たいとおもった。
どうしようもなく途方もない心持ちで、それでもこいつの側に居たいとおもった。
それが自分にとって、かえがたい幸せなのだと。
うら寂しい住宅街の片隅で、いつまでも縮まらない距離を確かめることしかできなかったとしても。




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無題θ :: 2015/03/10(Tue)

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旅行から帰ってくるといつも同じ状態になるんだけれど、とにかく現実感が希薄になってしまう。
仕事もうまく集中できなくなるし、ブログも書こうというモチベーションが保てなくなって、毎日がだらだらと過ぎていく。



楽しい時間は、いつも夢のようで、それが過ぎてしまうと、さびしさしか残らない。
それに慣れるのに、俺はひどく不器用で、ながい休暇が終わってしまう前の小学生みたいに、いつまでも終わらないと思っていた何ヶ月か前に戻りたいとおもう。
ほとんど切実に。心から。





14:35。
BGMは、Diddy-Dirty Moneyで『Coming Home feat. Skylar Grey』





お久しぶりです。しょごです。
うはは。一週間ぶりですかね。



すっかり夢うつつで、現実に戻るのに時間がかかってしまいました。笑
今もまだ、すこし夢うつつですけれど。



旅行、楽しかったですよ。
短かったですけれど、だいたい満足できるくらいには買い物しましたし、俺の地元にはないバーガーキングで、でっかいハンバーガー食べましたし、青山で三回スカウトされましたし。笑



びっくりですよね。笑
前にも一度、表参道で「事務所とか所属されてますか?」って声かけられたことはありましたけど、今回は三回も。
しかも、割と間髪をいれずに、ほとんど連続で、です。
五分おきくらいに、歩いているところを呼び止められました。



「モデルとかお芝居とか興味ありませんか?」
「あ、すみませんないです!」
「よかったらちょっとお話だけでも」
「ごめんなさい急いでいるんで!」



三回そんな会話をして、切り抜けました。笑
ああいうのって、ほんとなんですかね?
絶対、なんか買わされるか、詐欺の類いだと思ってるんですけど。
(考えすぎですかね?)



でも、そんなふうに声かけられて、悪い気はしないので、やっぱりちょっと気分は良いです。笑
もちろん、信用していませんけど。
怖くないですか?スカウト。



ちなみに、変な古着屋のキャッチにも二回声かけられました。
原宿の、カラオケ館前あたりで、まずひとり声かけられてついてこられて、竹下口の交差点のムラサキスポーツ前でまたひとり、しかも同じ店のキャッチに。笑



あそこって色んなキャッチがいますけど、その店は前も声かけてきて、めっちゃくちゃしつこいんですよね。
ついてきて「何買ったんすか~?」とか「今日はお買い物日和ですね~」とか妙になれなれしい感じで近づいてくるので、本気でうざいです。笑



前に声かけられたときは彼氏と一緒で、俺は完全無視をきめこんでいたんですけど、今回はひとりだったので、しょうがなく適当に会話して、別の店行くんで、とあしらいました。
もうちょっとで、不機嫌オーラマックスになりそうでしたけど、なんとか堪えました。
ちょっとは大人になったな、俺、なんて思いながら、そそくさと原宿のDogっていう店に逃げ込みました。
レディーガガとかが来るという、あのDogです。
あそこの店員はきほん、話しかけてこないので楽です。
たまーに、かわいい服があるんで、たまーに買います。
値段は全然かわいくないものばかりですけど。笑



あ、それから、黒人のキャッチにも声かけられましたね。
俺、竹下通り歩いてると毎回かならず黒人から声かけられるんですけど、今回は一回め通ったときなんにもなかったので安心していたんですけど、二回めでやっぱり絡まれました。笑
ふつうに無視しますけどね。怖いので。笑



なんか、俺ってただ声かけやすい感じなのかなって気がしてきた。笑
いい鴨になりそう、みたいな。
皆さんは、キャッチなんかについていっちゃ、だめですよ。笑







表参道ヒルズ近くで、飼い主を待つかわいい犬。
かわいいくせに大きかったので、思わず撮ってしまいました。





二日めは彼氏と一緒にぐるぐるまわって、まあ彼は最近じぶんの買い物より、人のものばかり買っていますけどね。
お母さん用に、ってH&Mでカーディガン買ったり、お土産に、ってキャットストリートに新しく出来たらしいキャンディ屋さんで何か買ったり。



おばあちゃん用に、って、小田急百貨店で羊羹も買っていました。
ほんとうは水羊羹がよかったらしいんですけど、時期が時期なのでなかったから、やわらかめのやつを買っていましたよ。笑



空港のお土産屋でも、彼はいっぱい買います。
ほんとうに、ばかみたいに買います。
普段は自分でも「ケチだから」って言うくらいなのに、そういうときの彼は豪快に金を使うのでおもしろいです。
俺なんて、お土産はできるだけ抑えたいとおもうので、真逆ですね。







空港の洋食屋さんで食べたごはんも、がっつりしてておいしかったです。
この後、飛行機の搭乗時間がギリギリで走ったので、お腹痛くなりましたけど。笑



帰りの飛行機が、いちばんテンション下がるので、あまり好きじゃないんです。笑
夜景がどんどん遠くなっていく感じも嫌ですし、なにより明日から仕事だとおもうと、帰りたくなくなりますよね。
しかも、まわりは皆旅行客なのか、方言で会話している人ばかりで、余計がっかり感があります。笑



行きの飛行機はあんなにどきどきするのに、帰りのそれはほんとうに後ろ髪ひかれる思いなので、その落差を考えてまた落ち込んじゃいます。
まあ、飛びたってしばらくすれば、もう諦めもつくんですけど。



着陸するとき、タイヤが地面に接した瞬間ものすごい振動がきますけど、うまい人は「着陸したのも気づかないくらいうまい」と聞いたんですが、ほんとでしょうか。
まぁ、俺の彼氏が言っていたので、眉唾ものですけどね。笑





そして、帰ってきて早々、喧嘩しました。笑
ほんとうにくだらないし、どうでもいい事で喧嘩したので、理由は書きませんけど、その日は帰って寝るまで口ききませんでした。笑
次の日、謝ってふつうに仲直りしましたけど。
旅行から帰ってきて、最後の最後で喧嘩って、最悪ですよね。笑



たぶん、お互い疲れていたので、ちょっとしたことでイライラしてしまったんでしょうけど。
喧嘩したあとは、余計疲れます。
なので、旅行帰りには、あまり喧嘩はしたくないですね。笑





また、エッセイや日記をがんばって更新していくので、お楽しみに。
いまはちょっと仕事が忙しいので、毎日は無理ですけれど……。
なるべくがんばります。笑




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TOKYO :: 2015/03/02(Mon)

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〈掲載終了〉




無事到着しました。
天気が微妙なかんじですけど、楽しみます!!




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無題α :: 2015/03/02(Mon)

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今日の夜、19:55の最終便で、東京にいきます。
もう何遍も行ったことのあるそこは、俺にとっては現実逃避の場で、同時にたのしいデートでもあります。
彼氏とは毎日いっしょに居ますけれど、どこかに出かけることは基本的に皆無なので、たまに、こうしてどこかに行くのはすごく貴重で、こころおきなく浮ついた気持ちになれる機会でもあるわけで。



それに、俺の買い物はとってもながいので、それに付き合ってくれるだけでありがたいです。笑
まぁ、あした彼はむかしの職場のパーティに行くので、俺ひとりでぶらぶらするんですけどね。
創立何十周年とかのパーティらしいので、わざわざ新幹線で会場の静岡まで行くんですから、ご苦労ですよね。



俺は、まぁ何にも気兼ねしないので、おもいっきり行ったり来たりして、たのしむつもりです。
ひとりで渋谷や原宿をぶらぶらしてると、なんとなく心もとない気持ちにはなりますけれど、買い物するにはひとりがいちばん丁度良いんですよね。





11:38。
BGMは、Lordeで『400 Lux』





最近、なかなか更新できなくてすみません。
といっても、そんなに間隔をあけてはいないんですけど。笑
また東京から帰ったら、がんばって書きます。
それで、旅行中も、なにか更新できたらするつもりなので、あまり期待しないでお待ちください。笑



それにしても、ブログのランキングの変動って、すごいっすね。
このまえ7位だったのに、もう25位とかに落ちてましたよ。
ちょっと更新しないだけでこれなので、上位のひとたちは更新頻度と記事の内容にさぞ心を砕いてるんでしょうね。



また俺も上位に食い込めるようにがんばります。
まぁ、読んでくれてる方がちょっとでも増えたので、そこはすごく満足してますけどね。笑



いつも拍手コメントくださるハルさんも、ありがとうございます!
なかなか拍手だとコメント返しができないので、心苦しいですけれど、これからも暇つぶしにご利用ください。笑




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眠れる者たち :: 2015/02/28(Sat)

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生きていて、なるべくなら知りたくないことや見たくないことを、運悪くたまたま見聞きしてしまうことが時々あって、そういうときの後悔や気おくれを経て、ひとが成長していくのなら、それでもいいと俺はおもう。
ひとは、所詮ひとなんだから。
俺も、あなたも、ただのひとでしかない。
俺たちは神様じゃないし、聖人君子でもない。





14:31。
BGMは、Justin Timberlakeで『FutureSex/LoveSounds』





俺はずっと二人組だと思っていた。
母は放任主義者で、夜は仕事にいって帰りはいつも深夜だったけれど、俺のただひとりの片割れはあの女で、母の機嫌をそこねないよう、注意深くやっていたつもりだ。



仕事に行く前、風呂上がりの化粧気のない母は鏡台にすわって、いろいろなクリームを顔じゅうに塗りこんでいく。
ファンデーションを肌に綺麗にのばしながら、その女の顔はまるで他人のそれのような気がした。
マスカラを上目遣いに塗って、真っ赤な口紅をさす。
仕上げにBVLGARIやらCK oneやらをふりかけて、Louis Vuittonのトートバッグを持って颯爽と出ていく目の前の女は、俺の母親じゃないみたいに思えた。



「いい子にしてるのよ」
母はそう言って、仕事に出ていく。
俺を置いて、たったふたりきりの家には、子どもには途方もない長い時間と静寂がふりつもる。
4才のころから、7才のころまでそんな生活をしていた。
父親がいないことを疑問におもって母を困らせたりもしたけれど、俺にとって母親以外のおとなは未知だった。
未知であり、敵であり、他人だった。
もちろん、ほんとうの父親も含めて。





父と母が別れたのは、俺が生まれるまえだ。
子どもができたと伝えると、父親に " なるはずだった " その男は、「最初はやさしかったけれど、ある時から急に態度をひるがえして、俺の子じゃないって言い始めた」らしい。
彼と、彼の両親、そして母の三人での話し合いの場が設けられ、そこで交渉はかんぜんに決裂した。
慰謝料も養育費もなしでやっていくと決めた母が、夜の仕事で生計をたてるのはありきたりすぎて俗っぽいけれど、それでもそれ以外方法がなかったのだ。
大した学歴もないうえに身重の女が仕事を得るには、選り好みしている余裕はなかった。



若い頃、血の気の多かった母はすぐに声を荒げては父と喧嘩していたらしい。
父親になるはずだったその男は、気がひどく弱くて、つねに逃げ腰だったらしいから、そんな母と一生を添い遂げるのがこわくなったのかもしれない。



父は、母親と共通の友人だったひとに、
「あいつがこわい」
と、こっそり言っていたらしい。
それを聞いたとき、俺は心から母に同情したし、父にもおなじくらい同情した。
じっさい若い頃の母はひどく気性が荒くて、俺を叱るときはよく手をあげたし、時には足もでたので、そういうところに嫌気がさしたのかもしれない。



ともかく、そんなふうにしてシングルマザーになった母と俺は、つねに一緒で、まさに二人組だったとおもう。
六才で二段ベッドを買ってもらうまでは一緒に寝ていたし、仕事で上り詰めるところまで上り詰めた母親に、買えないものなんてなかったのだ。
俺はたぶん、他の子どもたちよりはたくさんのものを買ってもらった気がする。
おもちゃだったり、漫画だったり、プラモデルだったり、二段ベッドだったり。
二段ベッドからみえる景色は、ワンルームの部屋のほぼ全貌で、奥のキッチンに冷蔵庫、その横にある玄関につながる廊下までぜんぶみえる。
そこからの視点は、まるで神様のそれのようで、俺はそこで眠るのがすきだった。
寝ながらベッドの柵越しにみることができる下界を、ほとんど超越したような気になって。



深夜まで、家の中でひとりで遊んでいたのを憶えている。
ゴジラやガメラや、ウルトラマンなんかの人形でおもいっきり散らかして、ひとり頭の中で架空の街を破壊していく遊び。
ビデオテープのケースなんかを街に見立てて、それをゴジラが破壊していく。
それを夜中の一時過ぎまでやって、母が帰ってくると、怒られたくない俺はよく片付けるフリをしていた。



「いま片付けてるとこ」
そう言って、さっきまで破壊していた街を元の場所に " 片付ける " 。
そうして自分が、母がきちんと帰ってくることに少なからず安心しているのを感じて、そこでようやく眠気が訪れる毎日だった。





俺が見たくなかったのは、母が怒って手をあげる姿でもないし、母が化粧をして仕事にいってしまうことでもない。
見たくないもの、見なければよかったものが、この世にあるなんて、知らなかった。



俺は無知で、ひとりでお留守番をしていることしかできない。
一度、棚の奥にしまってあった海外映画のビデオを、勝手に観てしまったことがあった。
コメディタッチの映画で、ときどき突拍子もないセックスシーンが挿入される、ありきたりなアメリカ映画。
俺は " それ " に釘付けになった。
これは何で、どういう意味なんだろう。
母親が仕事のとき、しばらくそのビデオを観ていた。
子どもでも、なんとなくそれが「見てはいけないもの」だとわかっていたから、すっかりその罪悪感と背徳感の虜になった俺は、母がそういうビデオをもっていたのが意外だったのだ。



おとなは皆、こんなことをしているのだろうか。
そんなことを考えながら、わけのわからない " それ " を盗み観るのが日課になった。
ある日、そのビデオを観ながらつい寝てしまって、ビデオの声とはあきらかに違う、はっきりした(そしてとても怒った)日本語が聞こえて目を覚ますと、母が仕事から帰ってきたところだった。
運悪く、部屋は街の破壊のために散らかされており、おまけにそのビデオときたもんだから、母はカンカンだった。



「こんなに散らかして!」
と母は言い、化粧のはげかけた顔で、
「これは子どもが観るもんじゃない!!」
とさらに語気を強めて言った。
ビデオの隠し場所は、それから変わったらしく、俺は二度とそれを見つけることができなかった。
タイトルやストーリーすら思い出せないそれを、時々画面だけ思いだすときがあって、ばかみたいな懐かしさを感じてしまう。





その日、俺は珍しく二段ベッドの上の段で寝ていて、母が帰ってきたことにも気づかなかった。
いつも通り深夜なのだろうその日は、一度寝たら朝まで起きない俺が、どうしてなのかわからないけれど、急に起きてしまったのだ。



うすぼんやりした意識でも、母の気配があるのはわかった。
部屋の中に、母のつかっている香水のにおいがいつもより色濃く漂っているからだ。
でも姿はみえない。
お風呂に入っている様子もないし、物音もしなかった。
二段ベッドに横になりながら見下ろせる景色は、せいぜいテレビの画面がかろうじてみえるくらいで高が知れている。
キッチンテーブルのほうに目をやると、母がいつも使っていたLouis Vuittonのバッグが置かれているのがみえて、帰ってきていることは間違いなかった。
その横に、見覚えのないコートもかかっている。
あきらかに女物とちがうそれは、まるで夜そのものみたいにのっぺりと黒く、そこに所在なげに佇んでいるようにみえた。
ほとんど恥じ入っているように。



床から何かこすれるような音がしたのはその時で、だから俺は、母が床で寝ているのだろうか、と思ったのだ。
疲れてそのまま寝てしまうことは、それまでもたまにならあったし、今日がたまたまその日だったとしてもおかしくはない。
俺は眠気で目をしばたたかせながら、半身だけ起こして下を見やった。



あのとき飛び込んできた光景が、夢なのか現実なのか、いまでもときどき疑ってしまう。
母は寝てはいなかった。
正確にいうと、 " 寝てはいなかったけれど、寝そべっていた " 。
化粧のはげかけた顔で、見たことのない男と寝そべって、キスをしていた。
母とその見たことのない男は、それぞれ向き合うようにして寝そべり、お互いの頬に手をやって、しずかにキスしている。
俺はおもわず、起こしかけた半身をそのままもう一度ふとんに横たわらせ、今そこで行われていた行為を必死に反芻した。
それは、ほとんど厳かなものに見えた。
荘厳といってもいい。
音もたてないで、母とその男は夢中でお互いの唇を重ねて、俺が起きたことに気づいていないらしい。
ふたりきりの世界で、まるで俺なんて居ないみたいに、彼らは見事なまでに二人組だった。



俺が一度もみたことのない母の姿で、あの安っぽいアメリカ映画みたいに、うっとりした、恍惚とした表情で、お互いのからだに腕をまわしていた。
今度は俺が恥じ入る番だった。
胸がどきどきして、いま見たものは何だったのか、これは夢で、じっさいにはさっきの光景は夢のなかでの出来事なんじゃないかといぶかしんだ。



それでも、もう、二度とそちらを見ることはできなかった。
はじめて見る母親のその表情は、厳かではあっても俺にはほとんど恐怖だった。
息をころして、からだを動かさないように、かたく目をとじる。
眠らなきゃ、と、おもった。
はやく眠って、今をやり過ごさなければ、と。



下の音は聞こえない。
俺はしずかに毛布を頭までかぶって、耐えるように眠った。





「母親である前に私は女なのだ」、という言葉が理解できない。



母親であるのと同時に、女でもあるのだ。



じぶんが生まれる前からその女にはその女の人生があって、たぶんそれは、全ての子どもにとって奇妙なことだとおもう。
じぶんの知らない顔と、一生知らなくていい過去。
知りたくない行為と、知りたくない声。
じぶんより以前の、その女の礎。





次の日、母はいつも通りだった。
目を覚ましたら、あの男の姿はどこにもなかったし、母もいつもみたいにすっぴんでテレビを観ていた。
すこし疲れたような、けれどそれでいてけっして不健康そうではない顔。



「おはよう」
そう言った母の声は、俺のよく知っているそれだった。
昨日みたことは何だったんだろう、と、俺は自分の記憶をほとんど疑ってしまう。
ぜんぶ夢だったんじゃないかと思って、夢だったらいいな、と思った。



あのアメリカ映画を思って、きのうの母を思った。
知らなければよかったことが、生きていると否応なく増えていくのだと、あの頃はまだわからなかった。
でも、知っていくことで、成長できることもある。
知らなければわからなかったことや見えなかったものが、理解できるようになるのだとしたら、きっと、目を向けたほうがいい。
たとえそれが怖くても、気後れしたとしても、後悔したとしても。
" はじめて " って、そんなものだと思うよ。





母が妊娠したのは、それからしばらく経ってからのことだ。






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アフターバースデイ :: 2015/02/26(Thu)

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誕生日に「おめでとう」とは言ってもらえなかったけれど、お寿司屋さんには連れていってくれました。
回っているところですけれど。笑
でも、回転寿司のほうがいっぱい食べられて好きです。
特に、自分のお金じゃないときのご飯は格別ですね。



これが、彼流の「おめでとう」だということにしておきましょう。
ちなみに、プレゼントはもらっていませんよ。
来週東京にちょこっと遊びに行くんで、その時になにか買ってあげる、と言ってたので、なにをふっかけてやろうか、考え中です。笑
まぁ、さすがにそんな高いものはねだりませんけどね。



それよりも東京に行けることが楽しみです。
はやく新宿や原宿を闊歩したくて武者震いしています。笑
このブログを読んでいる方で東京の方がいらっしゃったら、どこかですれ違ったりするかもしれないですね。
俺の格好は、わりとひとから「奇抜」とか「黒い」とか「こわい」とか言われるので、見つけるのはかんたんかもしれません。
(ほんとうに、散々な言われようです……)





俺の誕生日は昨日だったわけですけれど、今日はなんと、妹の誕生日です。



そう、一日違いなんですね、俺たち。
俺の誕生日の夜に陣痛がはじまった母が、次の日の明け方ごろ出産したのが、うちの妹です。笑
ほんとうに、数奇な偶然ですよね。
なので、子どものころは一緒に誕生日のお祝いをされたりしていました。
クリスマスが誕生日のひととか、あるいは近しい日に生まれたひとは多分わかると思うんですけれど、なにかと一緒に祝われる誕生日って、あんまり嬉しくないんですよね。
なんか、 " ついで " みたいで。
特に俺は長男なので、強制的に妹の誕生日とセットでお祝いされていたので、なんとなく複雑ではありました。



まぁ、いまは実家にもあまり帰らないせいで妹とも基本的に交流がないので、今年何歳になったのかよくわからないですけれど。
あんなにちっさかった子どもが、もう高校で修学旅行なんて、びっくりしますよね。
あの子のオムツ替えをしていたころが懐かしいです。
それが今や、彼氏まで居て。



その彼氏は俺より年下の社会人で、大阪だかどこかに勤めていてたまに帰ってくるらしいんですけれど、詳しいことはわかりません。
ただひとつわかるのは、あまり好きじゃないです。俺は、妹の彼氏を。笑



まず、顔がきらいなんですね(身も蓋もない……)。
ゲイのお兄ちゃんとしては、やっぱり男の顔は大事なわけで、しかも基本的になんとなく気に入らないので、仲良くもないですから、顔以外、判断基準がないんです。
その顔が、まぁ、すごく失礼なのは重々承知ですけれど、うん。
アレなんですよ。笑
箸にも棒にもかからないような感じで、背ばっかり高くて、清潔感のかけらもないような長い髪に肌。
(ここら辺は、かなり俺の先入観です。笑)



俺の彼氏が妹の彼氏にけっこう興味を示していた時期があって、たまたまうちに来たときに偶然その " 妹の彼氏 " がいて、ようやく顔が拝めるということで彼は颯爽と挨拶にいったわけです。
そしたら、まぁ、彼的にはそんなに悪い印象はなかったみたいで、
「ふつーじゃない?」
と言われてしまいました。
「きみがボロクソに言うから、どんな男かと思ってワクワクしてたけど、まぁふつーじゃない?」
彼はすっかり " 妹の彼氏 " から興味をなくしたようで、つまらなさそうにそう言って。



うーん。そうなのかな。
やっぱり、ただ気に入らないだけなのかもしれないですけど。
だって、なんか、アレがアレだし、みたいな曖昧な気持ちになっちゃうのは何故なんでしょう。笑
説明するのはすごく難しいけれど、ともかく、考えても無駄なのであまり考えないことにしています。
べつに、あの子が誰と付き合おうと勝手ですし。



やっぱり、イケメンだったら印象もかなり違っただろうになー、と思ってしまうあたり、俺のほうがかなりアレですよね。笑





妹が生まれるきっかけになった出来事があって、あとからそのことに関する記事を書こうかな、と思います。
こんな軽ーい日記じゃなくって、ちゃんと文章書くので、乞うご期待。笑



最後になりましたけれど、コメント下さった方々、ほんとうにありがとうございます。
また後から返事を返していきますね。
拍手してくれた方もありがとう。



これからも、暇なときのお供に、『境界、線上の先、』をよろしくお願いします。



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23 :: 2015/02/24(Tue)

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さようなら。23歳の俺。





23:07。
BGMはない。





歳をとる、ということが、何かをうしないつづけていくことなんでしょうか?



たとえばそれは若さであったり、その時代特有の向こう見ずさだったり、その日暮らしの気ままさだったり、責任のない永遠につづくような気のする楽しい時間だったりして、その途方もない時間のほんの一端を俺たちはあまりに無邪気に消費して、あとから思い返してみると、それがびっくりするほど膨大な " 時間 " だったのだと気づく。
あれだけ早く雲がながれて、セリフをそらんじていたみたいに言葉を喋って、髪や爪はどんどん新しくなっていって、俺たちはどんどん瑞々しさをうしなっていく。



けれど、歳をとっても、若さをうしなっても、けっして「古くなる」わけじゃない。
むしろ、どんどん進歩していると信じたいです、俺は。
人間は、成長する生き物だから。
じぶんで考えて、じぶんで選択して、じぶんで掴みとって生きていける、唯一の生物だとおもうから。





うしなっていくことは多いけれど、うしなってしまったからこそ得ることのできるものだって、きっとあるんだと思います。
何かをじぶんで掴みとるために、うしなってしまうものもあるのだと。



うしなうのは、怖いです。
けれど、うしなうことを止めることはできない。
なぜなら、ひとは立ち止まれないから。
たまに、回り道をしても、すこし立ち止まったとしても、目の前にある道なき道を歩きつづけなければいけないから。
新しい何かを得るために、じぶんを満たすために、ひとは欲望することを止められないから。





23歳じゃなくなった俺が、24歳になって、何をなくして、何を得るのかはわからない。
いまはまだ、それがまったく想像できなくて不安です。
あの時こうしておけばよかった、この瞬間にああしておけばーー。
後悔のほうが多い人生ですけれど、後悔したぶんだけ、未来を掴み取ろうとする力も強くなるのかもしれないですね。



そう信じたいです。





はじめまして。24歳の俺。





〈掲載終了〉





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光と、影と、 :: 2015/02/23(Mon)

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光り輝いているひとがきらいで、自信に溢れているひとがきらいで、愛されているひとがきらいで、格好いいひとがきらいで、屈託のないひとがきらいで、楽しそうなひとがきらいで、やさしいひとがきらいで、そういうひとたちがだいきらいだったのと同時に、憧れてもいた。



そういう存在になりたいと心から願って、けれどそういう役回りは一生まわってこないだろうとどこかでわかっていた。
光り輝いて生きられるひとは、ほんの一握りだ。
選ばれたひとたちの、選ばれた、永遠につづく遊戯のように、それはすぐそこで繰り広げられているのに触れることはできない。
まるでうすい膜がはってあるみたいに、触れたそばから柔い弾力で跳ね返されてしまう。





13:55。
BGMは、Loreenで『My Heart Is Refusing Me』





疎外感、と、俺はそう呼ぶことにした。
それはやがて、 " 劣等感 " という醜くてあちこち尖った厚い殻にかたちを変えて、そこに篭ってしまった自分自身を、外の世界のなにもかもから幽閉してしまう。
" 被害妄想 " と、ひとが見たらそう言うだろうか。





俺が傷ついていたのは、自分が光り輝くような存在じゃないことでも、機転をきかせて周りをあかるくさせることができないからでも、人生を楽しめずに厚い殻に閉じこもっているからでもなかった。



俺がなにより傷ついていたのは、あのひとに対する恋心のせいだ。
それは自分たちを苦しめ、淡い光で彼を照らすようなこともなく、しあわせは電話を切ったそばから不安に侵食されてしまうように、恋がもたらすはずのいくつかの清廉や純粋をことごとく無にした。



春の終わり、桜はとうに散って、夏の前のような強い陽射しばかりが視界をくもらせる。
強すぎる陽射しは、ときおり暴力的なまでに目の前の風景を暗くするとおもう。
目を細めてしまって、みえるはずのものも、ぼんやりと輪郭をうしなう。
そんな時期に、俺たちは出会った。
もう風はなまぬるくて、太陽の光で影ばかりが強調されて、つい日陰ばかりを歩きたくなるような、そんな日、彼と出会ったのだ。





彼とは彼のブログを通じて知り合った。
少しずつ深まっていく彼への好意を、俺は気づかない素振りで、けれどどこかではやく気づきたくてうずうずしていた。
だから、彼に「好きなんだけど」と伝えたあと、はじめて同性にそんなことを言ったのに、ちっとも後悔はなかった。
彼は俺の気持ちをうけいれてくれた。
このひとはなんて尊いひとなんだろう、と思った。
きっとこのひとは傷ついていてもそれを隠して笑っているような、そんな尊さを感じた。



彼との恋愛はもうほとんど瀕死に近かったと思う。
お互い顔は写メ、声は電話、考えはブログとメールでしか知らないのに、このひとしか居ない、と、強く心に思わせる何かがあった。
毎日連絡をとりあって、ときどき彼の元カレが原因で連絡を絶たれたり、彼自身の抱えていた問題が深刻になっていくにつれて、もともと安定していなかった足場はさらにぐらついた。
じっさいには会ったこともない、ほんとうにそんなひとが実在するかもわからないのに、俺はその遠くはなれた尊い男のことが好きで好きでたまらなかった。
骨抜きにされた、といってもいい。
正常な判断能力をうしなって、彼がみていた景色やこぼれおちた痛みを拾い集めようと躍起になったりした。



こんなに苦しいのに、彼はまぶしい。
そのまぶしさのせいで俺は、目を細めざるをえない。
視界から輪郭がなくなり、影ばかりがちらつくような世界で、俺は彼と永遠に転落しつづけているような気がした。





ある日、バイトが終わって時間があいた俺は、すぐ近くにあったちいさい商業施設に入った。
アートセンター、と名のついたそこは、文字通り定期的に開催される展覧会や全国巡回でまわってくるイベントごとを催すような会場で、美術館よりはいくぶんライトで、家族づれでも入りやすいというのが売りだった。



その時そこで開催されていたのは、名前は忘れてしまったけれど「自然」をテーマにした内容で、さまざまな作品が各ブースに用意されていて、学芸員よろしく作品の解説者がそれぞれの持ち場で訪れる客たちの相手をしている。



シアタールームの奇妙な映像、子どもが描いたんじゃないかと思うような個性的な森林、妙に生々しくリアルに描かれたカブトムシやらクワガタの点描画、一般参加型のフリースペース。
いろいろなブースをまわりながら、俺は連絡のなかなか取れない彼のことを思った。
彼はいま、何をしているんだろう。
元カレとセックスでもしているんだろうか。
なぜ、彼のことになるとこうも度をうしなうのか。
どうして、彼はあんなにもまぶしい存在なのか。
ただわかるのは、彼のことが大好きで、他のことはどうでもいいということだった。





ひとつのブースに入る。
中は真っ暗で、真ん中になにやら妙な円形のテントのようなものがあった。
そこだけが中からかすかに光りを放っていて、他にもひとが居るようだった。



近づいてみると、解説者の女の人が先客らしい中年の夫婦に作品の説明をしていて、俺が目に留まると、
「こんにちはぁ!どうぞ、ご一緒にご覧ください」
と、元気よく言った。
そこは、草や花がたくさん植えられていて、まるで小さなガーデニングのように思われた。
名前も知らない花と草が、かすかな光りに照らされてうすぼんやりと見えた。
そこで再び説明がつづけられる。



「こちらの作品は、生きた草花をそのまま植えていまして、これだけだとただのガーデニングかと思われるかもしれませんが、実はこのブースにはある仕掛けがあるんです」
解説者の女の人はスムーズにそう言うと、つづけて何かのスイッチを目立たせるように手に持って俺たちの前にかざしてみせた。
「これは特殊なスイッチになっていまして、これを点けると普段は絶対にみることのできない " あるもの " が見られるようになるんです」
口元にわずかに微笑みをつくって言い、女の人は、それではいきますねー、とあいかわらず愛想よくつづける。



スイッチを点けた瞬間、それが何なのか、いったいどんな意味があるのか、よくわからなかった。
なにか映像が映し出されるでもなく、電気がついてあかるくなるでもなく、あらわれたのは、黒いテントがはられたブース一面に無数の光りの粒が飛び交っている映像なのか、現象なのかはわからないけれど、ともかく " それ " が勢いよく動きまわっていた。
おおよそ数え切れないほどの光りの粒子は、ぴょんぴょん跳ねるように動くものもあれば、まるでUFOのように瞬時に移動してしまったんじゃないかと思うくらい速い速度で飛び交うものもある。



きれい、と中年夫婦の妻が言い、すごいな、と夫があいづちをうつ。
さっきまでよく顔のわからなかった彼らの表情が、慣れてきた目にすこしだけわかった。
解説者の女の人はまんぞくげにそれを見つめ、説明のつづきを聞かせてくれた。



「いま映し出されているこの光りの粒は、映像などではありません。さっきのスイッチを点けて、特殊なライトをこの植物たちに当てているんですけれど、じつはこの植物たちが、今まさにこの光りの粒を出しているんです」
女の人の説明に、中年夫婦は、ほお、と一声をあげる。
「光子、といいまして、英語だとフォトンというんですけれど、これは生きているものなら何でも出しているものなんです。目には見えませんが、生物は生きているあいだずっと、この光りの粒、光子ですね、これを放ちつづけているんです。もちろん、人間もそうです。特にスポーツをしたあとは、光子の放たれる量が多くなるといわれています」
すごいわねぇ、と中年夫婦の妻が言い、夫がまたひとつ、ほお、と言った。



「生きているあいだはずっと、この光りの粒は出続けています。死んでしまったら、それもなくなりますけれど」
女の人の説明がおわり、スイッチが消される。
光りの粒子は、ひとつ残らず消えてしまった。
残ったのは、さっきと同じ、小さなガーデニングだけだ。
それでは、お出口はあちらになります、ご静聴ありがとうございました、と解説者の女の人が言い、それを合図にしてつぎの客が入ってくる。





俺は、いま見たものはほんとうだろうかと思った。
生きているものは、生きているあいだずっと、ああして光りの粒を放ちつづけているって?
植物だけじゃなく、人間も、なにかさっきのような特殊なスイッチで照らせば、あの光りの粒のようなものがいっぱい飛び交っているのが、見えるのだろうか。



俺も、彼も、あんなふうに綺麗な光りを出して、あんなふうに小刻みに動きまわりながら、生きているのかな。
あんなふうに必死に、消えてしまいそうなくらい小さな光りの粒を、消えないようにいっぱい出して、生きているのかな。



俺は自分が、光り輝く存在とは無縁であるとおもっていた。
いつも影で、光りが当たっても目を細めて見ないふりをしてしまう、と。
だから彼のような、光りに溢れたひとに出会うと、俺は自分にないものばかり数えて、自分にあるものを数えたことなんて一度もなかった。
あるはずがない、と、おもっていたから。
そんなものが俺なんかにあるはずがない、と。



でも、きっと自分じゃわからない。
きっとそうだ。
彼は自分のことをよく卑下してみせる。
出来損ないで居ても居なくてもいい、どうでもいい存在なんだと言ったりする。
その都度、俺は彼に言うのだ。
おまえはどうでもいい存在なんかじゃない。
現にこうして俺には必要な存在なんだし、居てもらわないと困る、と。



彼にとって、俺は光り輝く存在にみえるだろうか。
自分にないものを持って、しあわせに生きているようにみえるだろうか。
自分じゃわからない。
でも、もし本当にそうだったら、嬉しい。
そうじゃなくても、俺たちみんな、光り輝いている。





光り輝く存在になるのは難しい。
俺は自分がどんなにそれとかけ離れた存在であるか知っているから。
光りに手を伸ばして、届かないとわかっているのに諦めきれずに指先をぴんと張って、すこしでも届けばいいと願いつづけて、でもこうして必死に生きている。
そんな自分のことを、よく知っているから。






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寄りかかれるひと :: 2015/02/21(Sat)

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俺の彼氏は、ときどき老人なんじゃないかと思うときがある。



見た目が老けているわけではないし(どちらかというと、それはもうすごい熱意を持ってスキンケアしている。それの賜物なのか、たまに彼の同級生だというひとを見かける機会があると、彼がいかに若さを保っているか、よくわかる)、説教くさいというのともちがう(説教くさくはないけれど、ときどきひどく正論じみたことを言ってひとを追い詰めるきらいはあるけれど)。



老人っぽいというのは、おなじ話をくりかえし話して聞かせる、という意味で。
以前話したことでも、しばらく経つと蒸し返して事の詳細を微にはいり細にうがって説明する。
もちろん彼も、前に話したことがあるとわかって話している話題もあれば、そんなことすっかり忘れておなじ話をしているときもある。



しかも言い回しや話すときのテンションまで一寸の狂いなく、最初のときとおなじなのだからすごい。



今日は、スーパーで見かけたどら焼きの話を聞かされた。
おととい、たまたまスーパーでそのどら焼きを見たとき、彼は買おうかどうしようか「超迷った」らしく、生地たっぷりに詰まった餡のなかに栗がひとかけら入っていて、それが " 丸々一個ではなく半分に切られた状態で三つ入って一パック " だったらしい。



「180円もするんだよ!高くない?」
彼はそう言って悔しそうな表情をつくり、おおげさな身振り手振りでそのどら焼きがいかにおいしそうだったかを説明する。
どら焼きの相場なんて俺にはわからないけれど、一個じゃなく半分の状態が三つ、というのはたしかにちょっと迷うかもしれないとも思った。
結局彼は、そのどら焼きの横にあった、 " 丸々の状態で入った " 五個入り三百円のほうを買ってきたわけだ。
それはもちろんおいしかったけれど、彼はまだ、例のどら焼きが引っかかっているらしい。



昨日、二回ぐらいは聞かされたおなじ話を、さっきまた説明してきた。
悔しそうな表情をつくって、おおげさに、おなじテンションで。





18:46。
BGMはない。





たとえば彼は、むかし付き合った男のことや、セックスした男のこと、好きだった男のことや、学生時代の思い出なんかをつぶさに聞かせたがる。
一度聞いた話でも、彼はおもいついたときにしつこく同じ話をするので、ときどきうんざりして、ときどき呆れる。
こういうときの彼は、絶対にわざとだとわかっているから。
ほとんど嫌がらせなんじゃないかと思って、彼のある種の記憶力というか、発想力というか、ともかくそういうものに感心してしまう。



そのうえ、ときどき机の引き出しをあけたついでみたいに、
「昔の男とのプリクラみる?」
などと言ってくるのだ。
ほんとうに、信じられないことに。
「みないよ!」
と、もちろん俺はそっけなく答えるけれど、彼のからかうような顔をみて、このひとは俺を嫉妬させたいのだろうかといぶかしむ。
多分、嫉妬させたいか、俺の反応をみて面白がっているかのどちらかだ。
そうでなければ、普通、言わないでしょ、そんなこと。
だいたい、昔のプリクラをとっていてもいいけど、俺に言うなよ、と思います。





嫉妬っていうのは、厄介なうえに疲れる。
ばかみたいな熱量で腹立たしい気持ちにさせられるし、落ち着いたあとの冷静さで思い返してみると、今しがたの自分の幼稚さに腹が立つ。



嫉妬するにしては、すこしだけ長くいっしょに居すぎだと思うけれど(もうすぐで、彼とつきあって五年になる)、年月の長さがもたらす変化なんてたかが知れているような気もしてくる。



たとえば、セックスレスになったカップルが関係を続けていく上で、それがプラスに働くかマイナスに働くかなんて、それほど重要な事柄じゃないと俺は思います。
セックスするためにひとと付き合うんじゃないし、ひとと付き合ったから、セックスは必須事項だという考え方も、俺にはピンとこない。
そもそも、セックスってそんなに大切なのか? と、思うんです。笑
だって、ずっといっしょに居て、最初のころのようなドキドキや興奮を維持できるとも思わないですし、コミュニケーションの方法なら他にもたくさんありますよね。
手を繋ぐ、とか、寄りかかる、とか、キスする、とか、いっしょにご飯を食べる、とか、いっしょにテレビを観ながら好き勝手なこと言ったりとか。



少なくとも、俺と彼はもう随分長いあいだ、まともにセックスしていません。
つまり、 " 最後までは " していない、ってことです。笑
でも、それで関係が悪くなったり、変わったりすることもなく、今日まで何とかいっしょに居ます。
たまに喧嘩はしますけど、基本的には仲良しだと思っていますし、二十四時間のうち仕事しているあいだ以外は、ほとんど彼といっしょなので、「恋人」というより「老夫婦」って感覚にちかいのかもしれないです。



多分、価値観が似てる部分が多いんだろうと思います。
彼も俺も、「セックスする前段階が面倒くさい」というタイプで、「オナニーすれば性的な衝動なんて治まる」から、ことさら面倒な手順をふんですることでもないのかな、と。
もうセックスに情熱を傾けるような初々しい関係でもないですしね。笑



それでも、今のこの状態で俺は満足しています。
セックスがないのは、まぁときどき悶々とすることもあるけれど、そのときは右手に頑張ってもらっています。
彼は彼で、きっと、パソコンでエロ動画でも観てるでしょうし。笑





セックスするよりも、いっしょにテレビが観たい。
セックスするよりも、いっしょに座って話がしたい。



セックスするよりも、ただ寄りかかっていたい。





彼がときどき、昔の男のことや経験したセックスのことを話して、嫉妬を誘おうとしても、所詮そんなの、ただの過去だ。
過去を持ちだしてきて、いくら俺を嫉妬させようとしても、心を掻き乱そうとしても、俺を傷つけることなんてできない。



一時の怒りを買うことはできても、嫉妬した俺をみて彼が満足げに笑ったとしても、いま、彼といっしょに居るのは俺だ。
俺は憤然と、彼の忌々しい過去の話を聞き流す。
それなりに長いあいだいっしょに居ても、面白くないことにかわりはないけれど。



そのうち、また、彼が昔のことを蒸し返して、とくとくと話して聞かせるまでは、この嫉妬心はしまっておこうと思う。
きっとそれは、そう遠くはない気がする。
子どもじみていて、思いついたときに自由に昔のことを語りだすような、そんなひとだから。






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歯医者 :: 2015/02/20(Fri)

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日記を書こうと思ってみると、よーくわかりますけど、「日記を書く」って、じつはめちゃめちゃ難しいんですね。
まず、日記に書けるようなことが日常そんなに起こらない、という。



何もなくても、読み応えのあるものを書く、っていうのは、ひどく心が折れますね。





15:34。
BGMは、Krewellaで『Alive』





昨日は久しぶりに歯医者さんに行きました。
歯のお掃除に。
定期的に行くよう心がけているのですが、たまに行くとなんだか気後れしてしまいます。
なんとなく、病院って苦手なんですよね。



まぁ、病院が好き、っていうツワモノもそう居ないとは思いますけど。笑
俺は子どものころ、何回か入退院を繰り返したり、手術も何度か経験したりしたので、そういう体験が病院を敬遠してしまう要因ではあるのかもしれません。



歯医者さんって特に、何度か行ったことのある馴染みの病院ならいいですけど、はじめて行くところって、めちゃくちゃ緊張しませんか?笑
緊張というか、ほとんど恐怖ですけど。



医者の腕もわからないし、病院の雰囲気もわからないし、看護師のひとの愛想が良いか悪いかもわからない。笑
いま行っている歯医者さんは、彼氏の行きつけのところで、子どものころからお世話になっているらしいので、その点、安心感はありましたけど。



なんとなく、病院に行くと子どもじみた気持ちになっちゃうので、やっぱり苦手ではあります。
子どもじみた、というのは、例えば看護師さんに顔を覚えられていて、「あら、今日はどこか痛みますか?」とか「いつもと同じお掃除かしら?」と聞かれたりすると、なんとなく悪いことをした子どもみたいな気持ちになったり、待合室で座っているあいだ、やることがなくて仕方なく、本棚の雑誌やマンガ、小説なんかのタイトルを流し読みしたりしているときに感じる寄る辺のなさ、だったり。
(子どものころ、漢字が読めないタイトルはその漢字だけ飛ばして読んだりとか、したことありませんか?)



意外と俺、歯医者特有のあの不快極まりない治療音は大丈夫なので、そういう意味での恐怖はないですけどね。
虫歯もひどいものはないし、そもそも全部治療してあるし。
歯茎を針でつつかれるのは、嫌ですけどね。
やっぱり、すごい不快なので。笑
なるべく気にしてないふうに、ぶっちょうづらで構えてますけど。





「はーいお掃除終わりましたよー。着色もないし、けっこう良い状態だとおもいますよー」



スケーリングしてくれた看護師さんが言って、俺はあいまいに笑ってみせる。
コーヒーとか飲まないの? と聞いてくるので、あーまぁ飲みますけど、とこたえると、聞いていなかったのか間髪いれずにつぎの話に移った。



「歯みがきの仕方もう一度おさらいしておきますねー!お口開けてもらってもいいですか!はい、鏡持ってね。よーく見ててくださーい」



もう何遍かになる歯みがき講習は、いつも通り俺を子どもじみた気持ちにさせる。
こういうことを必要以上に丁寧に説明されると、なんとなく心細いような気がしてしまってしょうがない。
いい大人なのに、と思って、この治療台に座っているあいだは、なんとなくその子どもじみた気持ちに身を寄せてしまっている自分がいるのも事実だ。



看護師さんがテキパキと説明していく。
もう何度か説明しましたけどね、まずは前歯の下のほうからいきますねー。
歯ブラシを歯と歯茎の境い目にななめに当てて、細かく小刻みに磨きます。
ガシガシって、強くやっちゃだめですよー。
ここに食べ残しとかが溜まりやすいので、丁寧に細かく磨いてくださいねー。
犬歯から奥歯にかけても同じようにななめにして、奥のほうまでしっかり磨いてくださいね。
あ、溝のあるところはガシガシってしっかり磨いたほうがいいからね。
前歯の裏側は、歯ブラシを縦にして一本一本、掻きだすように磨くといいですよー。



俺はその何度めかの説明を聞きながら、あいまいに返事をした。
聞いた直後は、その教えどおりにしっかり丁寧に歯みがきするけれど、なにしろこの歯みがき講習どおりにやると、十分くらいは磨きつづけないといけない。
それでだんだん面倒になっていって、結果、歯医者さんでのこの無限ループに繋がるわけだ。



五十代くらいの看護師は、いつも俺を担当しているひとで、慣れた手つきでもう何百回とやっただろう歯みがき講習をまた俺に説明している。
上の歯もおんなじようにやります。
前歯は歯と歯茎のあいだギリギリのところに当ててななめに磨きます。
裏側はさっきやったとおり、縦にして掻きだしてーー。



ふいに俺は、中学生のころ、クラスメイトとふざけてて机に口をぶつけて、血だらけになったのを思い出した。
ほとんど流血に近くて、溢れでる血が滴りおちるのを、クラスメイトたちが息を飲んで見ているのがわかった。
誰かが、保健室!誰か保健室つれてって! と言ったのと、別の誰かが俺の腕を掴んで保健室までつれていこうとしたのは、ほぼ同時だったと思う。



不思議と怖くはなかった。
信じられないくらい血が出て、前歯もグラグラして気持ち悪かったけれど、あまり痛いとも感じなかったし、ただただ「やべぇ」と思っていた。
何がやべぇのかはわからないけれど、やべぇ、やべぇな、と。



その後のことは、電光石火のように鮮やかだった。
保健室のいったい幾つなのかわからないお婆ちゃんみたいな先生と、担任の先生、学年主任の先生が保健室に集まって、あわや大惨事といった風情で俺を痛々しげに労わった。
すぐに早退がきまって、母親が迎えに来て、家のちかくの適当な歯医者に連れていかれた。
二階建ての歯医者で、一階は住居、二階が病院になっているタイプのそこは、あちこちひび割れた階段をのぼって、重い扉をあけて入れるところだった。



そこで、具体的にどんな治療がされたのかは憶えていないけれど、とにかく歯を固定して、ついでにまわりの歯のお掃除もしてもらって、そんなに痛みを感じることもなく「あと何度か通院してください」で終了した。
愛想のわるい医者で、医者なんてみんなそんなものかもしれないけれど、とくとくと説教をして(気をつけて遊びなさい、とか、もっとしっかり歯を磨きなさい、とか)、終始俺は、はやく治療が終わらないかな、とだけ考えていた。



その日の夜に、一緒にふざけていたクラスメイトが、母親と共にうちまでやってきて、手土産までもってお見舞いの言葉をかけられた。
俺の母親は笑って、気にしないでください、と言ったけれど、むこうの母親は涙を流して謝罪の言葉を言い募っていた。
いっしょにその場で、大丈夫です、と繰り返していた俺は、自分がひどく責められているような気持ちになって気が塞いだ。
クラスメイトの男子はまじめくさった顔で神妙そうに立って何も言わないし、その母親は涙をぽろぽろこぼしながら、
「もしその歳で歯がダメになったら私もうどうすればいいのやら……」
と言って、さらに泣いた。
謝られているのは俺なのに、極悪人になったのは俺のほうだと感じた。
ほんとうに、もう大丈夫なのでどうか気に病まないでください、と俺の母親が言って、ひたすら頭をさげてクラスメイト親子は帰っていった。





「はい、終わりましたよー!」
看護師さんが愛想よく言い、つづけて、
「今日でぜんぶ終わりましたので通院は大丈夫ですよー」
と、言った。



看護師さんが医者を呼びにいっているあいだ、俺は顔の上にあるYOSHIDAと文字の入ったライトをみつめる。
聞いたことのないメーカーだ、と思っていたら、いつのまにか医者が横に立っていた。



「あれから左奥歯はどうですか?」
ここの医者は比較的愛想がいいほうだと思いながら、大丈夫です、とこたえる。
以前治療した左奥歯はちっとも問題ないし、ほかの歯もなにも異常はない。
「うん。じゃ大丈夫でしょ」
医者が言って、さっさと立ち去る。
歯医者さんの医者というのは、ほんとうにいざという治療のときしかなかなかお目にかかれないものなんじゃないかと思うくらい、ここの医者はなかなか姿をみせない。



「それじゃ、お大事にー」
看護師さんが言い、会計を済ませて、さっきの歯みがき講習で使った歯ブラシもいつも通りもらって、外に出た。
よく晴れて、すこし暖かすぎるくらいの気温だ。



帰ったら、この綺麗になった歯を彼氏に見せよう、と、子どもじみた考えで思った。
それで、綺麗になった歯でキスでもしてやろう、と思って、なんとなくすっきりした口でため息をひとつ吐いて、俺は自転車に乗った。



来るときは向かい風だったから、帰りは追い風でちょっとは楽だろうと思うと、なんとなく気楽な気分になって、俺は地面をいきおいよく蹴った。





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