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無題θ :: 2015/03/10(Tue)

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旅行から帰ってくるといつも同じ状態になるんだけれど、とにかく現実感が希薄になってしまう。
仕事もうまく集中できなくなるし、ブログも書こうというモチベーションが保てなくなって、毎日がだらだらと過ぎていく。



楽しい時間は、いつも夢のようで、それが過ぎてしまうと、さびしさしか残らない。
それに慣れるのに、俺はひどく不器用で、ながい休暇が終わってしまう前の小学生みたいに、いつまでも終わらないと思っていた何ヶ月か前に戻りたいとおもう。
ほとんど切実に。心から。





14:35。
BGMは、Diddy-Dirty Moneyで『Coming Home feat. Skylar Grey』





お久しぶりです。しょごです。
うはは。一週間ぶりですかね。



すっかり夢うつつで、現実に戻るのに時間がかかってしまいました。笑
今もまだ、すこし夢うつつですけれど。



旅行、楽しかったですよ。
短かったですけれど、だいたい満足できるくらいには買い物しましたし、俺の地元にはないバーガーキングで、でっかいハンバーガー食べましたし、青山で三回スカウトされましたし。笑



びっくりですよね。笑
前にも一度、表参道で「事務所とか所属されてますか?」って声かけられたことはありましたけど、今回は三回も。
しかも、割と間髪をいれずに、ほとんど連続で、です。
五分おきくらいに、歩いているところを呼び止められました。



「モデルとかお芝居とか興味ありませんか?」
「あ、すみませんないです!」
「よかったらちょっとお話だけでも」
「ごめんなさい急いでいるんで!」



三回そんな会話をして、切り抜けました。笑
ああいうのって、ほんとなんですかね?
絶対、なんか買わされるか、詐欺の類いだと思ってるんですけど。
(考えすぎですかね?)



でも、そんなふうに声かけられて、悪い気はしないので、やっぱりちょっと気分は良いです。笑
もちろん、信用していませんけど。
怖くないですか?スカウト。



ちなみに、変な古着屋のキャッチにも二回声かけられました。
原宿の、カラオケ館前あたりで、まずひとり声かけられてついてこられて、竹下口の交差点のムラサキスポーツ前でまたひとり、しかも同じ店のキャッチに。笑



あそこって色んなキャッチがいますけど、その店は前も声かけてきて、めっちゃくちゃしつこいんですよね。
ついてきて「何買ったんすか~?」とか「今日はお買い物日和ですね~」とか妙になれなれしい感じで近づいてくるので、本気でうざいです。笑



前に声かけられたときは彼氏と一緒で、俺は完全無視をきめこんでいたんですけど、今回はひとりだったので、しょうがなく適当に会話して、別の店行くんで、とあしらいました。
もうちょっとで、不機嫌オーラマックスになりそうでしたけど、なんとか堪えました。
ちょっとは大人になったな、俺、なんて思いながら、そそくさと原宿のDogっていう店に逃げ込みました。
レディーガガとかが来るという、あのDogです。
あそこの店員はきほん、話しかけてこないので楽です。
たまーに、かわいい服があるんで、たまーに買います。
値段は全然かわいくないものばかりですけど。笑



あ、それから、黒人のキャッチにも声かけられましたね。
俺、竹下通り歩いてると毎回かならず黒人から声かけられるんですけど、今回は一回め通ったときなんにもなかったので安心していたんですけど、二回めでやっぱり絡まれました。笑
ふつうに無視しますけどね。怖いので。笑



なんか、俺ってただ声かけやすい感じなのかなって気がしてきた。笑
いい鴨になりそう、みたいな。
皆さんは、キャッチなんかについていっちゃ、だめですよ。笑







表参道ヒルズ近くで、飼い主を待つかわいい犬。
かわいいくせに大きかったので、思わず撮ってしまいました。





二日めは彼氏と一緒にぐるぐるまわって、まあ彼は最近じぶんの買い物より、人のものばかり買っていますけどね。
お母さん用に、ってH&Mでカーディガン買ったり、お土産に、ってキャットストリートに新しく出来たらしいキャンディ屋さんで何か買ったり。



おばあちゃん用に、って、小田急百貨店で羊羹も買っていました。
ほんとうは水羊羹がよかったらしいんですけど、時期が時期なのでなかったから、やわらかめのやつを買っていましたよ。笑



空港のお土産屋でも、彼はいっぱい買います。
ほんとうに、ばかみたいに買います。
普段は自分でも「ケチだから」って言うくらいなのに、そういうときの彼は豪快に金を使うのでおもしろいです。
俺なんて、お土産はできるだけ抑えたいとおもうので、真逆ですね。







空港の洋食屋さんで食べたごはんも、がっつりしてておいしかったです。
この後、飛行機の搭乗時間がギリギリで走ったので、お腹痛くなりましたけど。笑



帰りの飛行機が、いちばんテンション下がるので、あまり好きじゃないんです。笑
夜景がどんどん遠くなっていく感じも嫌ですし、なにより明日から仕事だとおもうと、帰りたくなくなりますよね。
しかも、まわりは皆旅行客なのか、方言で会話している人ばかりで、余計がっかり感があります。笑



行きの飛行機はあんなにどきどきするのに、帰りのそれはほんとうに後ろ髪ひかれる思いなので、その落差を考えてまた落ち込んじゃいます。
まあ、飛びたってしばらくすれば、もう諦めもつくんですけど。



着陸するとき、タイヤが地面に接した瞬間ものすごい振動がきますけど、うまい人は「着陸したのも気づかないくらいうまい」と聞いたんですが、ほんとでしょうか。
まぁ、俺の彼氏が言っていたので、眉唾ものですけどね。笑





そして、帰ってきて早々、喧嘩しました。笑
ほんとうにくだらないし、どうでもいい事で喧嘩したので、理由は書きませんけど、その日は帰って寝るまで口ききませんでした。笑
次の日、謝ってふつうに仲直りしましたけど。
旅行から帰ってきて、最後の最後で喧嘩って、最悪ですよね。笑



たぶん、お互い疲れていたので、ちょっとしたことでイライラしてしまったんでしょうけど。
喧嘩したあとは、余計疲れます。
なので、旅行帰りには、あまり喧嘩はしたくないですね。笑





また、エッセイや日記をがんばって更新していくので、お楽しみに。
いまはちょっと仕事が忙しいので、毎日は無理ですけれど……。
なるべくがんばります。笑




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TOKYO :: 2015/03/02(Mon)

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〈掲載終了〉




無事到着しました。
天気が微妙なかんじですけど、楽しみます!!




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無題α :: 2015/03/02(Mon)

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今日の夜、19:55の最終便で、東京にいきます。
もう何遍も行ったことのあるそこは、俺にとっては現実逃避の場で、同時にたのしいデートでもあります。
彼氏とは毎日いっしょに居ますけれど、どこかに出かけることは基本的に皆無なので、たまに、こうしてどこかに行くのはすごく貴重で、こころおきなく浮ついた気持ちになれる機会でもあるわけで。



それに、俺の買い物はとってもながいので、それに付き合ってくれるだけでありがたいです。笑
まぁ、あした彼はむかしの職場のパーティに行くので、俺ひとりでぶらぶらするんですけどね。
創立何十周年とかのパーティらしいので、わざわざ新幹線で会場の静岡まで行くんですから、ご苦労ですよね。



俺は、まぁ何にも気兼ねしないので、おもいっきり行ったり来たりして、たのしむつもりです。
ひとりで渋谷や原宿をぶらぶらしてると、なんとなく心もとない気持ちにはなりますけれど、買い物するにはひとりがいちばん丁度良いんですよね。





11:38。
BGMは、Lordeで『400 Lux』





最近、なかなか更新できなくてすみません。
といっても、そんなに間隔をあけてはいないんですけど。笑
また東京から帰ったら、がんばって書きます。
それで、旅行中も、なにか更新できたらするつもりなので、あまり期待しないでお待ちください。笑



それにしても、ブログのランキングの変動って、すごいっすね。
このまえ7位だったのに、もう25位とかに落ちてましたよ。
ちょっと更新しないだけでこれなので、上位のひとたちは更新頻度と記事の内容にさぞ心を砕いてるんでしょうね。



また俺も上位に食い込めるようにがんばります。
まぁ、読んでくれてる方がちょっとでも増えたので、そこはすごく満足してますけどね。笑



いつも拍手コメントくださるハルさんも、ありがとうございます!
なかなか拍手だとコメント返しができないので、心苦しいですけれど、これからも暇つぶしにご利用ください。笑




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アフターバースデイ :: 2015/02/26(Thu)

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誕生日に「おめでとう」とは言ってもらえなかったけれど、お寿司屋さんには連れていってくれました。
回っているところですけれど。笑
でも、回転寿司のほうがいっぱい食べられて好きです。
特に、自分のお金じゃないときのご飯は格別ですね。



これが、彼流の「おめでとう」だということにしておきましょう。
ちなみに、プレゼントはもらっていませんよ。
来週東京にちょこっと遊びに行くんで、その時になにか買ってあげる、と言ってたので、なにをふっかけてやろうか、考え中です。笑
まぁ、さすがにそんな高いものはねだりませんけどね。



それよりも東京に行けることが楽しみです。
はやく新宿や原宿を闊歩したくて武者震いしています。笑
このブログを読んでいる方で東京の方がいらっしゃったら、どこかですれ違ったりするかもしれないですね。
俺の格好は、わりとひとから「奇抜」とか「黒い」とか「こわい」とか言われるので、見つけるのはかんたんかもしれません。
(ほんとうに、散々な言われようです……)





俺の誕生日は昨日だったわけですけれど、今日はなんと、妹の誕生日です。



そう、一日違いなんですね、俺たち。
俺の誕生日の夜に陣痛がはじまった母が、次の日の明け方ごろ出産したのが、うちの妹です。笑
ほんとうに、数奇な偶然ですよね。
なので、子どものころは一緒に誕生日のお祝いをされたりしていました。
クリスマスが誕生日のひととか、あるいは近しい日に生まれたひとは多分わかると思うんですけれど、なにかと一緒に祝われる誕生日って、あんまり嬉しくないんですよね。
なんか、 " ついで " みたいで。
特に俺は長男なので、強制的に妹の誕生日とセットでお祝いされていたので、なんとなく複雑ではありました。



まぁ、いまは実家にもあまり帰らないせいで妹とも基本的に交流がないので、今年何歳になったのかよくわからないですけれど。
あんなにちっさかった子どもが、もう高校で修学旅行なんて、びっくりしますよね。
あの子のオムツ替えをしていたころが懐かしいです。
それが今や、彼氏まで居て。



その彼氏は俺より年下の社会人で、大阪だかどこかに勤めていてたまに帰ってくるらしいんですけれど、詳しいことはわかりません。
ただひとつわかるのは、あまり好きじゃないです。俺は、妹の彼氏を。笑



まず、顔がきらいなんですね(身も蓋もない……)。
ゲイのお兄ちゃんとしては、やっぱり男の顔は大事なわけで、しかも基本的になんとなく気に入らないので、仲良くもないですから、顔以外、判断基準がないんです。
その顔が、まぁ、すごく失礼なのは重々承知ですけれど、うん。
アレなんですよ。笑
箸にも棒にもかからないような感じで、背ばっかり高くて、清潔感のかけらもないような長い髪に肌。
(ここら辺は、かなり俺の先入観です。笑)



俺の彼氏が妹の彼氏にけっこう興味を示していた時期があって、たまたまうちに来たときに偶然その " 妹の彼氏 " がいて、ようやく顔が拝めるということで彼は颯爽と挨拶にいったわけです。
そしたら、まぁ、彼的にはそんなに悪い印象はなかったみたいで、
「ふつーじゃない?」
と言われてしまいました。
「きみがボロクソに言うから、どんな男かと思ってワクワクしてたけど、まぁふつーじゃない?」
彼はすっかり " 妹の彼氏 " から興味をなくしたようで、つまらなさそうにそう言って。



うーん。そうなのかな。
やっぱり、ただ気に入らないだけなのかもしれないですけど。
だって、なんか、アレがアレだし、みたいな曖昧な気持ちになっちゃうのは何故なんでしょう。笑
説明するのはすごく難しいけれど、ともかく、考えても無駄なのであまり考えないことにしています。
べつに、あの子が誰と付き合おうと勝手ですし。



やっぱり、イケメンだったら印象もかなり違っただろうになー、と思ってしまうあたり、俺のほうがかなりアレですよね。笑





妹が生まれるきっかけになった出来事があって、あとからそのことに関する記事を書こうかな、と思います。
こんな軽ーい日記じゃなくって、ちゃんと文章書くので、乞うご期待。笑



最後になりましたけれど、コメント下さった方々、ほんとうにありがとうございます。
また後から返事を返していきますね。
拍手してくれた方もありがとう。



これからも、暇なときのお供に、『境界、線上の先、』をよろしくお願いします。



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23 :: 2015/02/24(Tue)

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さようなら。23歳の俺。





23:07。
BGMはない。





歳をとる、ということが、何かをうしないつづけていくことなんでしょうか?



たとえばそれは若さであったり、その時代特有の向こう見ずさだったり、その日暮らしの気ままさだったり、責任のない永遠につづくような気のする楽しい時間だったりして、その途方もない時間のほんの一端を俺たちはあまりに無邪気に消費して、あとから思い返してみると、それがびっくりするほど膨大な " 時間 " だったのだと気づく。
あれだけ早く雲がながれて、セリフをそらんじていたみたいに言葉を喋って、髪や爪はどんどん新しくなっていって、俺たちはどんどん瑞々しさをうしなっていく。



けれど、歳をとっても、若さをうしなっても、けっして「古くなる」わけじゃない。
むしろ、どんどん進歩していると信じたいです、俺は。
人間は、成長する生き物だから。
じぶんで考えて、じぶんで選択して、じぶんで掴みとって生きていける、唯一の生物だとおもうから。





うしなっていくことは多いけれど、うしなってしまったからこそ得ることのできるものだって、きっとあるんだと思います。
何かをじぶんで掴みとるために、うしなってしまうものもあるのだと。



うしなうのは、怖いです。
けれど、うしなうことを止めることはできない。
なぜなら、ひとは立ち止まれないから。
たまに、回り道をしても、すこし立ち止まったとしても、目の前にある道なき道を歩きつづけなければいけないから。
新しい何かを得るために、じぶんを満たすために、ひとは欲望することを止められないから。





23歳じゃなくなった俺が、24歳になって、何をなくして、何を得るのかはわからない。
いまはまだ、それがまったく想像できなくて不安です。
あの時こうしておけばよかった、この瞬間にああしておけばーー。
後悔のほうが多い人生ですけれど、後悔したぶんだけ、未来を掴み取ろうとする力も強くなるのかもしれないですね。



そう信じたいです。





はじめまして。24歳の俺。





〈掲載終了〉





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寄りかかれるひと :: 2015/02/21(Sat)

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俺の彼氏は、ときどき老人なんじゃないかと思うときがある。



見た目が老けているわけではないし(どちらかというと、それはもうすごい熱意を持ってスキンケアしている。それの賜物なのか、たまに彼の同級生だというひとを見かける機会があると、彼がいかに若さを保っているか、よくわかる)、説教くさいというのともちがう(説教くさくはないけれど、ときどきひどく正論じみたことを言ってひとを追い詰めるきらいはあるけれど)。



老人っぽいというのは、おなじ話をくりかえし話して聞かせる、という意味で。
以前話したことでも、しばらく経つと蒸し返して事の詳細を微にはいり細にうがって説明する。
もちろん彼も、前に話したことがあるとわかって話している話題もあれば、そんなことすっかり忘れておなじ話をしているときもある。



しかも言い回しや話すときのテンションまで一寸の狂いなく、最初のときとおなじなのだからすごい。



今日は、スーパーで見かけたどら焼きの話を聞かされた。
おととい、たまたまスーパーでそのどら焼きを見たとき、彼は買おうかどうしようか「超迷った」らしく、生地たっぷりに詰まった餡のなかに栗がひとかけら入っていて、それが " 丸々一個ではなく半分に切られた状態で三つ入って一パック " だったらしい。



「180円もするんだよ!高くない?」
彼はそう言って悔しそうな表情をつくり、おおげさな身振り手振りでそのどら焼きがいかにおいしそうだったかを説明する。
どら焼きの相場なんて俺にはわからないけれど、一個じゃなく半分の状態が三つ、というのはたしかにちょっと迷うかもしれないとも思った。
結局彼は、そのどら焼きの横にあった、 " 丸々の状態で入った " 五個入り三百円のほうを買ってきたわけだ。
それはもちろんおいしかったけれど、彼はまだ、例のどら焼きが引っかかっているらしい。



昨日、二回ぐらいは聞かされたおなじ話を、さっきまた説明してきた。
悔しそうな表情をつくって、おおげさに、おなじテンションで。





18:46。
BGMはない。





たとえば彼は、むかし付き合った男のことや、セックスした男のこと、好きだった男のことや、学生時代の思い出なんかをつぶさに聞かせたがる。
一度聞いた話でも、彼はおもいついたときにしつこく同じ話をするので、ときどきうんざりして、ときどき呆れる。
こういうときの彼は、絶対にわざとだとわかっているから。
ほとんど嫌がらせなんじゃないかと思って、彼のある種の記憶力というか、発想力というか、ともかくそういうものに感心してしまう。



そのうえ、ときどき机の引き出しをあけたついでみたいに、
「昔の男とのプリクラみる?」
などと言ってくるのだ。
ほんとうに、信じられないことに。
「みないよ!」
と、もちろん俺はそっけなく答えるけれど、彼のからかうような顔をみて、このひとは俺を嫉妬させたいのだろうかといぶかしむ。
多分、嫉妬させたいか、俺の反応をみて面白がっているかのどちらかだ。
そうでなければ、普通、言わないでしょ、そんなこと。
だいたい、昔のプリクラをとっていてもいいけど、俺に言うなよ、と思います。





嫉妬っていうのは、厄介なうえに疲れる。
ばかみたいな熱量で腹立たしい気持ちにさせられるし、落ち着いたあとの冷静さで思い返してみると、今しがたの自分の幼稚さに腹が立つ。



嫉妬するにしては、すこしだけ長くいっしょに居すぎだと思うけれど(もうすぐで、彼とつきあって五年になる)、年月の長さがもたらす変化なんてたかが知れているような気もしてくる。



たとえば、セックスレスになったカップルが関係を続けていく上で、それがプラスに働くかマイナスに働くかなんて、それほど重要な事柄じゃないと俺は思います。
セックスするためにひとと付き合うんじゃないし、ひとと付き合ったから、セックスは必須事項だという考え方も、俺にはピンとこない。
そもそも、セックスってそんなに大切なのか? と、思うんです。笑
だって、ずっといっしょに居て、最初のころのようなドキドキや興奮を維持できるとも思わないですし、コミュニケーションの方法なら他にもたくさんありますよね。
手を繋ぐ、とか、寄りかかる、とか、キスする、とか、いっしょにご飯を食べる、とか、いっしょにテレビを観ながら好き勝手なこと言ったりとか。



少なくとも、俺と彼はもう随分長いあいだ、まともにセックスしていません。
つまり、 " 最後までは " していない、ってことです。笑
でも、それで関係が悪くなったり、変わったりすることもなく、今日まで何とかいっしょに居ます。
たまに喧嘩はしますけど、基本的には仲良しだと思っていますし、二十四時間のうち仕事しているあいだ以外は、ほとんど彼といっしょなので、「恋人」というより「老夫婦」って感覚にちかいのかもしれないです。



多分、価値観が似てる部分が多いんだろうと思います。
彼も俺も、「セックスする前段階が面倒くさい」というタイプで、「オナニーすれば性的な衝動なんて治まる」から、ことさら面倒な手順をふんですることでもないのかな、と。
もうセックスに情熱を傾けるような初々しい関係でもないですしね。笑



それでも、今のこの状態で俺は満足しています。
セックスがないのは、まぁときどき悶々とすることもあるけれど、そのときは右手に頑張ってもらっています。
彼は彼で、きっと、パソコンでエロ動画でも観てるでしょうし。笑





セックスするよりも、いっしょにテレビが観たい。
セックスするよりも、いっしょに座って話がしたい。



セックスするよりも、ただ寄りかかっていたい。





彼がときどき、昔の男のことや経験したセックスのことを話して、嫉妬を誘おうとしても、所詮そんなの、ただの過去だ。
過去を持ちだしてきて、いくら俺を嫉妬させようとしても、心を掻き乱そうとしても、俺を傷つけることなんてできない。



一時の怒りを買うことはできても、嫉妬した俺をみて彼が満足げに笑ったとしても、いま、彼といっしょに居るのは俺だ。
俺は憤然と、彼の忌々しい過去の話を聞き流す。
それなりに長いあいだいっしょに居ても、面白くないことにかわりはないけれど。



そのうち、また、彼が昔のことを蒸し返して、とくとくと話して聞かせるまでは、この嫉妬心はしまっておこうと思う。
きっとそれは、そう遠くはない気がする。
子どもじみていて、思いついたときに自由に昔のことを語りだすような、そんなひとだから。






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歯医者 :: 2015/02/20(Fri)

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日記を書こうと思ってみると、よーくわかりますけど、「日記を書く」って、じつはめちゃめちゃ難しいんですね。
まず、日記に書けるようなことが日常そんなに起こらない、という。



何もなくても、読み応えのあるものを書く、っていうのは、ひどく心が折れますね。





15:34。
BGMは、Krewellaで『Alive』





昨日は久しぶりに歯医者さんに行きました。
歯のお掃除に。
定期的に行くよう心がけているのですが、たまに行くとなんだか気後れしてしまいます。
なんとなく、病院って苦手なんですよね。



まぁ、病院が好き、っていうツワモノもそう居ないとは思いますけど。笑
俺は子どものころ、何回か入退院を繰り返したり、手術も何度か経験したりしたので、そういう体験が病院を敬遠してしまう要因ではあるのかもしれません。



歯医者さんって特に、何度か行ったことのある馴染みの病院ならいいですけど、はじめて行くところって、めちゃくちゃ緊張しませんか?笑
緊張というか、ほとんど恐怖ですけど。



医者の腕もわからないし、病院の雰囲気もわからないし、看護師のひとの愛想が良いか悪いかもわからない。笑
いま行っている歯医者さんは、彼氏の行きつけのところで、子どものころからお世話になっているらしいので、その点、安心感はありましたけど。



なんとなく、病院に行くと子どもじみた気持ちになっちゃうので、やっぱり苦手ではあります。
子どもじみた、というのは、例えば看護師さんに顔を覚えられていて、「あら、今日はどこか痛みますか?」とか「いつもと同じお掃除かしら?」と聞かれたりすると、なんとなく悪いことをした子どもみたいな気持ちになったり、待合室で座っているあいだ、やることがなくて仕方なく、本棚の雑誌やマンガ、小説なんかのタイトルを流し読みしたりしているときに感じる寄る辺のなさ、だったり。
(子どものころ、漢字が読めないタイトルはその漢字だけ飛ばして読んだりとか、したことありませんか?)



意外と俺、歯医者特有のあの不快極まりない治療音は大丈夫なので、そういう意味での恐怖はないですけどね。
虫歯もひどいものはないし、そもそも全部治療してあるし。
歯茎を針でつつかれるのは、嫌ですけどね。
やっぱり、すごい不快なので。笑
なるべく気にしてないふうに、ぶっちょうづらで構えてますけど。





「はーいお掃除終わりましたよー。着色もないし、けっこう良い状態だとおもいますよー」



スケーリングしてくれた看護師さんが言って、俺はあいまいに笑ってみせる。
コーヒーとか飲まないの? と聞いてくるので、あーまぁ飲みますけど、とこたえると、聞いていなかったのか間髪いれずにつぎの話に移った。



「歯みがきの仕方もう一度おさらいしておきますねー!お口開けてもらってもいいですか!はい、鏡持ってね。よーく見ててくださーい」



もう何遍かになる歯みがき講習は、いつも通り俺を子どもじみた気持ちにさせる。
こういうことを必要以上に丁寧に説明されると、なんとなく心細いような気がしてしまってしょうがない。
いい大人なのに、と思って、この治療台に座っているあいだは、なんとなくその子どもじみた気持ちに身を寄せてしまっている自分がいるのも事実だ。



看護師さんがテキパキと説明していく。
もう何度か説明しましたけどね、まずは前歯の下のほうからいきますねー。
歯ブラシを歯と歯茎の境い目にななめに当てて、細かく小刻みに磨きます。
ガシガシって、強くやっちゃだめですよー。
ここに食べ残しとかが溜まりやすいので、丁寧に細かく磨いてくださいねー。
犬歯から奥歯にかけても同じようにななめにして、奥のほうまでしっかり磨いてくださいね。
あ、溝のあるところはガシガシってしっかり磨いたほうがいいからね。
前歯の裏側は、歯ブラシを縦にして一本一本、掻きだすように磨くといいですよー。



俺はその何度めかの説明を聞きながら、あいまいに返事をした。
聞いた直後は、その教えどおりにしっかり丁寧に歯みがきするけれど、なにしろこの歯みがき講習どおりにやると、十分くらいは磨きつづけないといけない。
それでだんだん面倒になっていって、結果、歯医者さんでのこの無限ループに繋がるわけだ。



五十代くらいの看護師は、いつも俺を担当しているひとで、慣れた手つきでもう何百回とやっただろう歯みがき講習をまた俺に説明している。
上の歯もおんなじようにやります。
前歯は歯と歯茎のあいだギリギリのところに当ててななめに磨きます。
裏側はさっきやったとおり、縦にして掻きだしてーー。



ふいに俺は、中学生のころ、クラスメイトとふざけてて机に口をぶつけて、血だらけになったのを思い出した。
ほとんど流血に近くて、溢れでる血が滴りおちるのを、クラスメイトたちが息を飲んで見ているのがわかった。
誰かが、保健室!誰か保健室つれてって! と言ったのと、別の誰かが俺の腕を掴んで保健室までつれていこうとしたのは、ほぼ同時だったと思う。



不思議と怖くはなかった。
信じられないくらい血が出て、前歯もグラグラして気持ち悪かったけれど、あまり痛いとも感じなかったし、ただただ「やべぇ」と思っていた。
何がやべぇのかはわからないけれど、やべぇ、やべぇな、と。



その後のことは、電光石火のように鮮やかだった。
保健室のいったい幾つなのかわからないお婆ちゃんみたいな先生と、担任の先生、学年主任の先生が保健室に集まって、あわや大惨事といった風情で俺を痛々しげに労わった。
すぐに早退がきまって、母親が迎えに来て、家のちかくの適当な歯医者に連れていかれた。
二階建ての歯医者で、一階は住居、二階が病院になっているタイプのそこは、あちこちひび割れた階段をのぼって、重い扉をあけて入れるところだった。



そこで、具体的にどんな治療がされたのかは憶えていないけれど、とにかく歯を固定して、ついでにまわりの歯のお掃除もしてもらって、そんなに痛みを感じることもなく「あと何度か通院してください」で終了した。
愛想のわるい医者で、医者なんてみんなそんなものかもしれないけれど、とくとくと説教をして(気をつけて遊びなさい、とか、もっとしっかり歯を磨きなさい、とか)、終始俺は、はやく治療が終わらないかな、とだけ考えていた。



その日の夜に、一緒にふざけていたクラスメイトが、母親と共にうちまでやってきて、手土産までもってお見舞いの言葉をかけられた。
俺の母親は笑って、気にしないでください、と言ったけれど、むこうの母親は涙を流して謝罪の言葉を言い募っていた。
いっしょにその場で、大丈夫です、と繰り返していた俺は、自分がひどく責められているような気持ちになって気が塞いだ。
クラスメイトの男子はまじめくさった顔で神妙そうに立って何も言わないし、その母親は涙をぽろぽろこぼしながら、
「もしその歳で歯がダメになったら私もうどうすればいいのやら……」
と言って、さらに泣いた。
謝られているのは俺なのに、極悪人になったのは俺のほうだと感じた。
ほんとうに、もう大丈夫なのでどうか気に病まないでください、と俺の母親が言って、ひたすら頭をさげてクラスメイト親子は帰っていった。





「はい、終わりましたよー!」
看護師さんが愛想よく言い、つづけて、
「今日でぜんぶ終わりましたので通院は大丈夫ですよー」
と、言った。



看護師さんが医者を呼びにいっているあいだ、俺は顔の上にあるYOSHIDAと文字の入ったライトをみつめる。
聞いたことのないメーカーだ、と思っていたら、いつのまにか医者が横に立っていた。



「あれから左奥歯はどうですか?」
ここの医者は比較的愛想がいいほうだと思いながら、大丈夫です、とこたえる。
以前治療した左奥歯はちっとも問題ないし、ほかの歯もなにも異常はない。
「うん。じゃ大丈夫でしょ」
医者が言って、さっさと立ち去る。
歯医者さんの医者というのは、ほんとうにいざという治療のときしかなかなかお目にかかれないものなんじゃないかと思うくらい、ここの医者はなかなか姿をみせない。



「それじゃ、お大事にー」
看護師さんが言い、会計を済ませて、さっきの歯みがき講習で使った歯ブラシもいつも通りもらって、外に出た。
よく晴れて、すこし暖かすぎるくらいの気温だ。



帰ったら、この綺麗になった歯を彼氏に見せよう、と、子どもじみた考えで思った。
それで、綺麗になった歯でキスでもしてやろう、と思って、なんとなくすっきりした口でため息をひとつ吐いて、俺は自転車に乗った。



来るときは向かい風だったから、帰りは追い風でちょっとは楽だろうと思うと、なんとなく気楽な気分になって、俺は地面をいきおいよく蹴った。





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バレンタイン :: 2015/02/19(Thu)

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おなじふとんでもこんなにちがうのか、と、ほとんど愕然とするくらい、実家と彼氏の家のふとんは、まるでちがう。



彼といっしょに買いにいったダブルのふとんと羽毛掛けふとんはニトリで、毛布はもともとあったもので、枕は俺のがホームセンターで3000円くらいで買った安物の低反発枕で、彼のそれは、東京にいったときにわざわざ予約して買いにいった代物だ。
日本橋にある、ロフテーという枕専門店だった。
首のカーブの深さを計測し、それを基にそのひとに合った枕をコンサルティングしてくれるお店で、彼も御多分にもれず自分に合うそれをみつけた。
一万円以上はするそれを、郵送で送ってもらって、「これでやっと首の痛みから解放される」と喜んでいた。
そもそもそんなところに予約までしていったのは、買うこと前提だったのだけれど。



俺は今更ながら、あのときいっしょに買っておけばよかったな、と、すこし後悔した。
でも枕に一万円はなぁ、と、どケチ根性丸出しでおもう。
いまの枕は特に不快ではないけれど、ときどき頭が " もちあがりすぎている " と感じるので、ほんとうは首のカーブが合っていないのかもしれない。
いまのところ寝違えたり首が痛くなることはないけれど。



実家で俺が使っているふとんは、その点ニトリの安物とはまるで違う。
祖母がむかし客人用として持っていたものを譲りうけたので、寝心地は最高で、きっと値段もずっと高い。
その祖母も、アルツハイマーを発症して施設に入ってしまった。
もうふとんなんて使わないし、なら貰っていきましょう、と、祖母の家の整理にいった母が勝手にもってきたのだ。
もっとも、まだまだ使える立派なふとんをみすみす捨てるのももったいないので、もってきてよかったとは思うけれど。
実家に寝に帰って、いいな、と思うのは、そのふとんの寝心地の良さくらいだ。
あとは、リビングでえんえん馬鹿話をくりひろげている母と妹の声がもうすこし音量をさげてくれればなぁ、と、おもう。
ふたりとも信じられないくらい大きな声で話すので、とても集中して本を読んだりブログを書いたりなどできない。





二月十四日、土曜日の08:30。
俺は目をさまし、まだまどろむ意識のまま窓に目をむける。



くもりガラスになっている窓のむこうは、清らかで鮮やかな水色で、いってんの曇りもない。
俺は眠るときにカーテンをしない。
だから起きたそばから、その日の天気がわかるので、雨の日なんかだと陰々滅々とした気分になってしまうのだ。
ガラスごしの水色は色紙のようにのっぺりとして、奥行きをうしなってまるで書き割りのようだった。
色そのもののあかるさのおかげで、それでも部屋の中まですこしあかるいようだった。





今日は、九時半ごろに妹の友だちが、その母親を引き連れてやってくる。
妹の修学旅行の説明会に行くために、どうせなら「いっしょに行こう」という算段になったらしい。
俺は妹の友だちはすこし苦手だ。
まえに一度、職場にひやかしに来た妹が友だちも数人連れてきて、その友だちの何人かが学生らしい非常識さ全開でうるさかったので、俺はめんくらったのを憶えている。
今日くる子は、そんな感じの子じゃないから、まだいいけれど。



「きたよー。行こうー」
妹が独特の、間伸びしたしゃべり方で言い、俺はすこし憂鬱なきもちになる。
学校なんて、何年ぶりだっけ?
十八のとき以来だから、五年ぶりくらい?
俺、いつのまにそんな年取ってたんだろう……。
ほとんど愕然としながら、俺は瞬時に考える。



玄関を出て、底冷えのするコンクリートの階段をおりて、迎えにきてくれた妹の友だちとその母親の待つ車に乗りこむ。
妹は制服を着ていて、たぶん平均的な女子高生よりすこしだけスカートが短い。




「おはようございます。すみませんわざわざ」
なるべく快活に聞こえるように、努めてあかるい声で母親のほうに言った。
母親は、いいえぇ~、とかなんとか言ってさっさと車を発進させる。
ふいに妹の友だちのほうを見ると、子どもが抱っこされて乗っている。
まだちいさい、一才くらいだろうか、それくらいの子どもが不思議そうにこっちを見ている。
俺は子どもは嫌いだ。
俺のその子を見る目がよほど怖かったのか、ものの一秒としないうちに泣き出してしまった。
あーあ。これだからガキは。
そんな悪態を心のなかでつきながら、早くおわってくれないかな、と思った。





妹の通う学校にいったのは初めてだったけれど、とりたてて言うことのない外観で、よくいえば素朴、ふつうにいえば薄汚い校舎はなんとなくむかしの陰鬱とした気持ちを思い出させる。
学生時代のじぶんと、数々の後悔。



妹がすれ違う友だちたちに、女子特有の甲高い声と、頬をなでるような上っ面な親しみをこめた挨拶を交わしているのをみながら、目の端々で、かわいい男子高校生がいないかさがす。
目にとまる男子生徒は、皆地味で、その地味さが子どもじみて幼い感じののこる地味かげんなので、とても性的な対象にはならないだろうな、といっぱしのゲイらしくおもう。



体育館と聞いていた俺たちは、けれど体育館ではなく校舎の三階の教室にとおされた。
「え!ここ靴ぬがなきゃいけないの?」
「そうだよ。そういや、しょご兄ちゃんのスリッパもってくるの忘れちゃった」
妹が言い、私立の学校なんてどこも土足なんだろうと思っていた俺はすこしだけビビった。
くつ下、適当なの履いてこなくてよかった、と思い、妹の同級生たちに俺はどう見えているのだろうと、ふと考える。
まさか彼氏なんて思わないだろうと思って、まわりの保護者は皆ちゃんと父親や母親なので、あきらかに俺はとりのこされたみたいな疎外感を感じる。



最初はすくなかった人も、徐々に増えていく。
教室はあっという間にいっぱいになって、座れない生徒まで出てくるのだから、やっぱり体育館のほうがよかったんじゃないの、と俺は胸の内でひとりごちた。
妹たちがきゃあきゃあ言いながら、かわいらしい包みを交換しあっている。
その包みを見ながら、あぁ今日はバレンタインだったな、と思い出した。
女の子たちが、女の子たちによる、女の子たちのためのお菓子交換をしているのをみながら、彼氏には何を買おうかとぼんやりおもう。
女の子たちの、こういうイベントでの同調意識というか、ある種の結束力は目を見張るとむかしからおもっていたけれど、まるでつい昨日のことのように繰り広げられていたその儀式がもう五年もまえで、いまここに居る女の子たちはあのころとちっとも変わらないテンションで、俺の知っているクラスメイトたちのように儀式をまっとうしている。
女ってすげぇなー、と、だからこういうときは彼女たちの労力をしずかに労う。
俺には絶対できないし。



旅行会社のひとたちと、先生数人が教室に入ってきて、女の子たちがぞろぞろとそれぞれの席に戻っていく。
こうして学校の机に座っていると、どういう顔をしていいかわからなくなって困惑した。





説明会は、ばかげたことに強制参加ではなかった。
つまり、俺は来なくてもよかったのに、今日わざわざ仕事前にこうして学校にきて、内容のしれた説明を聞かされているわけだ。
事実、保護者は誰も来ていなくて生徒ひとりの子も、ちらほらいた。
なんだよ、と思い、こんなことなら断っとけばよかったな、と考える。



説明の内容はだいたい予想していた通りのことで、妹を含めた生徒がざわざわと私語を交わしつつ、円滑に進んだ。
妹は関西•関東コースらしく、京都やディズニーランド、お台場がコースとして載っており、俺はそのお決まりの修学旅行コースに心のなかで、お台場かよ、と突っ込んだ。
妹も、「えー!!渋谷ないのぉー!!」などとまわりの女子たちと不満を言い、「マルキューって渋谷にあるんだよねぇ?」などと俺に聞いてくる。
お台場は俺もいったことがないからわからないけれど、 " 再開発の進んでいる港の近い都市 " 、みたいなイメージしかない。



「えーと!渋谷とか原宿も行っても大丈夫ですよー!ちょっと行き方が複雑なので、間違えないようにー!!」
添乗員のひとりだろう、旅行会社の女がマイクで言い、生徒たちがにわかに活気を取り戻す。
みると、配布されたパンフレットに路線図が載っていて、それをみながら生徒が口々に、何コレ?どう見るの?意味わからん、などと言っている。
小さい子どもを連れている保護者が多いみたいで、あちこちで子どもたちのすさまじい泣き声が聞こえたり止んだりしていた。



「渋谷ってどうやって行くの?」
妹が聞き、俺は路線図をみながら、どうやって行くのが一番早くて的確か複雑にからみあうそれを凝視して考える。
「ゆりかもめって電車に乗って、新橋まで行くじゃん?そしたら東京メトロの銀座線に乗って、それで渋谷まで行けるよ」
俺がぶっきらぼうに言うと、妹は意味がわかっているのかいないのか、ふーんと相槌をうつだけだ。
「アプリがあるから、それ入れとけばいいよ」
俺は電車の路線情報や乗り換え、時刻などの検索ができる地図アプリを妹に教えてやる。
それさえあれば迷わないだろうし、だいたい東京なんて行ってみないとその複雑さはわからないだろう。



その後の説明も、保護者が必要なレベルの内容とは思えないものばかりだった。
荷物の重量やキャリーケースの大きさの制限、ヘアーアイロンや充電器の注意点(アイロンだめなの? という妹に、コードがついてるのは大丈夫だから、と言ってあげた)、おこづかいの管理など、高校生にもなってこんなにこまかい説明が必要なのかとも思う。
だいたい、まわりの生徒たちの話し声のほうがうるさくて、添乗員の説明なんてほんとうに聞いているのだろうかと思うし、そういう説明なら保護者なんていらないじゃん、と俺は思う。
ホームルームで説明すればいいし、旅行の日程や新幹線の時間なんて説明されても、どうしろというのだろう。
だいたい、説明会自体が、どこかの保護者からの要望だったというし、そもそもやる予定のないことだったわけだから、話の内容もたいしたことない。



じっさい、説明会が保護者にとって特に重要な連絡事項を話すこともないまま、お開きになったので、俺はほとんど落胆した。
妹も、「これだけのために学校来たの?」などとぐちぐち言っている。
ほんとうにこれだけのために学校に来たなら、俺だって高校生のときそう言ったとおもう。
ともかく、他の保護者たちは無言で制服姿の子どもたちをつれて帰っていく。
俺たちも誰ともなく立ち上がり、廊下に出ると、北海道コースの教室はまだ説明会がおわっていないようだった。
教室の中から、いろいろな視線が飛んできて、気づかないふりをして目をそらす。



「帰りはバスだよ。弟を病院つれていくんだって」
妹が言い、ふーん、と思いながら、送ってくれた友だち一家に手を振る。
バス停まですこし歩いた。
風がつめたく、陽射しはあたたかい。
「うちの学校、超ボロっちいでしょ」
妹が言い、俺の母校を引き合いにだして「あそこは綺麗だし、中にコンビニもあるんでしょ」
と言ってくる。



俺はあいまいに返事をして、校舎が綺麗になったのは最近で、コンビニも俺が通っていたころはなかったけれど、とおもった。
保護者は来ていないんだろう男子高校生たちが、自転車にまたがり横をすり抜けていく。
ひとりも可愛い子はいないし、ここはほんとうに高校か、とおもった。



「ほら、あそこの交差点あるじゃん。あそこに車停めて盗撮してるおっさんがいたんだよ!まじきもいよね~」
妹が言い、この子とこうやって並んで歩いて話すのなんて、いつぶりだろうと、ふいに妙な感覚にとらわれる。
妹は歩きにくいのかなんなのか、ずっと俺の二の腕のあたりを掴んで歩いている。
小さいころ、俺よりもはるかに小さいこの子を連れていたのは俺だった。
あの頃は妹のことが嫌いで、よくいじめたのに、それでも俺のそばから離れなかった。
夜は母親は仕事だったし、ほかに頼れるひともいないから、しょうがないだろうけれど。



いつのまにこんなに大きくなったんだろうと思い、なんとなくその保護者くさい考え方を振り払いたくて、陽射しがまぶしいフリをして目をほそめた。
よく晴れていて、朝の水色の空とはまるでちがっている。
ほんとうに、今日が晴れの日でよかったとおもった。



バス停からバスに乗っているあいだじゅう、会話らしい会話もなかった。
ただ外の景色をみながら、このあと何時ごろに家を出て仕事に向かうか考えたり、建物の看板を意味もなく読んだりして時間をつぶした。
彼氏と車に乗っていると、よく意味もなく看板の文字を読み上げたりしている。
たまに変な名前の店や写真つきの選挙用ポスターが貼ってあったりすると、それをネタに笑うのが、俺たちの常だ。
ときおり乗ってくる乗客はどのひとも老人ばかりで、ほぼ100%の割合でIC乗車券をもっている。
田舎のバスはこの老人たちに支えられているんだな、と思いながら、俺ははやく家に帰りたいとおもった。
自分の家ではない。彼のいる、あの家に。





バスを降りても妹はずっと俺の二の腕あたりを掴んでいた。
まるで子どもがするみたいに、所在なげに。
制服姿の女子高生と、私服の年齢不詳の男がいっしょに歩いていて、まわりからはどう見えているだろうと考えて、その考えがほとんど意味のないばかげたことだと知っているから、すぐに考えるのをやめた。
家まではすぐで、無言で歩く俺たちはなんとなくちぐはぐで、気詰まりだと感じる。
なんとなく、子どものころに戻ったみたいで、それがひどく心許なくて。
子どものころ、頼りになるのは大人ではなくて、自分のそばに無条件についていてくれるものに親近感を感じてしまうように、妹も昔はそうだったのかもしれない。
そう思って、意味のない考えだ、と一蹴した。
もうすぐ家に着く。そしたらまた、いつもの会話のない、接点のない兄妹にもどるだろう。
それが一番、俺にとっては安心で過ごしやすい距離感だとおもうのだ。





「しょご兄ちゃん、今日もう帰ってこないでしょ?」
仕事が一時からだから、そのまえに昼ごはんを食べるとして、三十分まえ。家から職場までの移動時間がだいたい四十分で、髪の毛のセットを考えるともう十分。
すこし余裕をもちたいから、十一時半に出ればいいなと思い、準備しているときに妹にそう言われた。
「たぶん、帰らないよ」
たぶん、ではなく、帰らないよ、とただ言わないのに、特に理由はない。
「じゃあこれ、○○くんにもあげといて」
そう言って、さっき学校で女の子たちと交換していたようなかわいらしい包みの、けれどさっきのより心持ち大きいそれをふたつ渡して、妹はまたテレビのある部屋に戻っていった。
うちの家族は、俺の彼氏を " ただの友だち " だと思っていて、その友だちの家に転がり込んで居候している、と思っているらしい。
なので、彼はうちの家族とはふつうに顔を合わせる。
まるで " ただの友だち " みたいに、くっきりした笑顔で、こんばんは、なんて言って。



「……ありがと」
聞こえたのか聞こえていないのかわからないくらいの声量で俺は言い、そのままそれをバックパックに詰める。
帰ったら、彼にあげなきゃ。
でもあのひと、手作りって苦手だからなぁ。
たぶん食べないだろうけど、一口くらいは食べるかもしれない。
準備しおえた俺は玄関のまえに立つ。
俺は市販のやつでいいや。
去年もそうだったし、一昨年もそうだった。
たぶん彼のほうからはくれない。
なぜか、そういう役回りになっているのだ、毎年。
別にいいけどね、と、ひとりごちて、俺は玄関をあける。
外は朝とはまるでちがう雰囲気で、風もそれほどつめたくない気がした。






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13日の金曜日 :: 2015/02/18(Wed)

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エッセイや記事ばかりだと飽きちゃうので、今週は日記週間にしよう、と、思い立ちました。



決めました。勝手に。笑
エッセイは、また来週、お楽しみに。



そういえば、拍手でコメントをくださった方、ありがとうございました。
拍手でコメントをもらうのはひさしぶりで、しかもとても嬉しいコメントだったので、勝手に舞い上がりました。笑
どのくらいの人がみているのかわからないけれど、ありがとうございます。





金曜日の夕方、彼氏に、
「今日なんの日?」
と聞かれて、さてなんの日だっただろうと考えたけれどわからなかったので、
「なんの日?」
とすぐに降参した。
彼は運転中だったので前をみながら、
「13日の金曜日だよ」
と、知らなかったの? というような口調で言った。
あぁそうか今日は13日だったなぁ、と思って、まだ学校に通っていたころ、 " Xデイ " が訪れるとクラスメイトたちが「ジェイソンの日だ!」と口々にいっていたのを思いだす。
そういえば学校に通う歳じゃなくなってから、そんなこと気にしたこともなかったなぁ、と、曜日や日付にむとんちゃくになっていく自分にぞっとした。



仕事上、曜日感覚や日付にはけっこう気を配っているんですけど、そういうどうでもいい小ネタというか、みんなが分け隔てなく共有できる話題は一向に疎遠になっていたので、たぶんそのせいだとは思うけれど。



13日の金曜日だからといって、だから何だ、と正直にいえばそうで、特に不吉とも感じないし楽しいイベントがあるわけでもない。
せいぜいTSUTAYAにでも行って、 " ジェイソン " を借りてこようかな、と思うぐらいで、そんな話題一度だしてしまえばすぐに忘れ去られるのだ。
あたりまえだけれど。
それなのに、13日の金曜日はどこか特別だ。
語呂がいいからなのか、単純に " ジェイソン " 効果なのかはわからないけれど。





先週からすこし慌ただしい毎日が続いています。
土曜日は妹の修学旅行の説明会に行く羽目になったし、月曜日はまた出張だったし、最近、昇進とまではいかないけれど仕事での立場がすこしかわったので、それのプレッシャーとかもあって、気が暗くなることもあります。



さっきも仕事のLINEがきました。
ここのところ売上げが悪いので、うちのお店の店長もイライラしています。
なので、すこしでも打開案を出さなければいけないので、まぁ大変ですね。
俺はショッピングセンターの靴屋で店員をしているんですけど、季節のかわりめの時期はほんとうに色々試行錯誤します。



靴屋って、働いてみたことのあるひとは分かると思いますけど、意外と大変なんですよ。
ばあいによっては重労働だし(箱を何段も重ねて運んだり、品物によってはばかみたいに重かったり)、数字的な面でみてもかなり面倒です。
荒利とか前年比とか、躍起になっておぼえようとしているところなので、それに被さるように他の細々したこともやらなきゃいけないので。
まぁ、もうヒラの店員じゃないのでしょうがないですけど。



ちなみに、正社員じゃありませんよ。
一応、非正規雇用者です。
正社員よりも非正規雇用者のほうが賃金も無論やすいので、うちのお店はほとんど非正規雇用者です。
だから、やる気のある人もいれば、まったくやる気のない人もいて、そういうときはイライラが募って仕方ないので、それも大変です。笑



幸い、俺の下に付いている子たちはいい子ばかりなので、まだ安心なんですけどね。
まだまだ教えなきゃいけないことは山積みなので、気は揉むと思いますけど。





金曜日は、妹の学校の説明会が次の朝早かったので、実家に帰ったんですけど、帰る前に彼氏とごはんを食べたり寄り道してりして時間をつぶしていました。
ひさしぶりに、ふたりでラーメン屋さんに行きました。
空腹に任せて、ラーメンと餃子六つと、ミニチャーハンを注文して、食べすぎたね、なんて言いながら帰りました。
毎日いっしょに居るのに、なんだかこういうとき、無駄に名残惜しさのようなものを感じてしまうので、だめです。



とくべつ寂しいとか、心細いとかいう気持ちになるわけではないんですけれど、なんとなく、奇妙な気分になるのがあまり好きじゃないんです。
帰らなきゃいけない。帰るべきところに帰らずに、違う場所に " 寝に帰る " というのが、奇妙な感覚の原因だとおもう。
彼は実家とおなじ敷地内にある「離れ」
に住んでいて、俺はふだんそこで眠ったり、仕事にいったり、こうしてブログを書いたりしているわけだけれど、無論彼の両親は俺のことなんて知らない。
知られちゃいけないし、知ってほしいとも思わない。
この世には、絶対に話しておいたほうがいいことと、墓場まで秘密をもっていかなければいけないことの二種類あるとおもう。



彼が墓場までそれを持っていけるかはわからないけれど、とりあえず、今のところ、順調だ。
だから彼の仕事の都合で昼間いないときや、やむをえないときは、実家に帰ることにしている。
それが安全だと知っているのだ。ふたりとも。



それで、まぁ時々そういう奇妙な感覚にとらわれてしまうので、なんとなく実家に帰る前というのは苦手です。
つきあいたてのカップルじゃあるまいし。
つきあいたてのカップルでもこんな感覚持たないんじゃないかとおもう。



たまに、俺たちのことを知っている人なんていないんだと思うと、ものすごく頓狂なことをしているような気分になる。
厳密にいえば、ゲイの友だちとか、彼のゲイ友とか、知っている人はごく少数いるけれど、ふだんの俺たちを知っている人で、この関係を知っている人はひとりもいないんだから、ひどく可笑しい。
誰にもみつからない。誰にも気づかれない。誰にも祝福されない。べつに望んでいないし。



くだらない、と思ってすぐに違うことを(仕事のこととか)考えるけれど、たぶんこれは俺の永遠のテーマだ。
そういう道を選んだのだ、自分で。
彼からの告白を(自分でいうのも何だけど、彼のほうからアプローチしてきた)蹴って、違う選択をすることもできたのに、結果的にそれができなかったのは、つまりそういうことだ。



そういえば、渋谷の同性婚証明書のニュースをやっていたっけ。
思って、でもカンケーねぇや、と、考えを一蹴する。
辺鄙な田舎町には縁のない、ましてや両親に打ち明けてもいないことなのだ。
カンケーねぇ。
カンケーねぇ。





「それじゃ、ちゃんとあったかくして寝なよ」
彼が実家のアパートの道のまえで言って、俺は生返事をかえす。
はいはい、とか、わかってる、とか。
自分だって、こたつに入ったまま寝るくせに。
そう思って、今日はちゃんと布団で寝ろよね、と言い返した。
「それじゃあ」
「じゃあね」
お互い言って、俺は車のドアをしめる。
俺の実家はアパートの二階の部屋だ。廊下の真ん中、古びたコンクリートの廊下が真冬はきんきんにつめたい冷気を放っている。
階段をあがる直前、ふりかえると彼がこっちを見ている。
手をふると、ふりかえしてくれた。
それで、彼がすっと前を向いて車を発進させるのだ。
いつもそう。彼と俺のあいさつのようなものだ。
仕事に送ってもらったときも、こんなふうに実家に送ってもらったときも、手をふり、ふりかえされる。
バハハーイ、なんて間抜けな感じで、頼りなげに手首をふって、そこでようやく俺は階段をのぼった。
エンジン音はすぐ遠くなる。



13日の金曜日はもう終わりかけていた。
べつに不吉なこともないし、イベントごともない。
普通だ。普通の、いつもの一日。
ジェイソンは来ないし、俺の平和を脅かさない。
それでじゅうぶんだ、と、思うことにして、俺は重い鍵穴にかぎを差し込み、右にまわした。





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いじわる :: 2015/02/12(Thu)

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「ふたりの間に隠し事はなし!」というある種のカップルのルールみたいなものを、俺は信用していない。
そもそも、 " 隠し事が何もない " なんて状況がありえないことだ。
好きだからこそ言いたくないこと、というのは普通のことだし、言う必要のないことを言わない、という判断をすることだってある。



たとえば、このブログのように。





2月11日、現在16:15。
BGMはない。





このブログの存在は彼氏には内緒にしてある。
正確にいうと、 " 内緒にしてあった " 。



昨日たまたま、FC2ブログのアプリを見られるまでは。



「何それ」
すぐにアプリを消したけれど、彼氏は見逃さない。
地獄耳、という言葉があるように、地獄目、という言葉もあるんじゃないかと俺はおもう。
俺の彼氏はそういう節が、ままある。
けっして見逃さないし、怪しいものは問いただす。
「何でもないよ」
と、俺がいくら言っても無駄だ。
それが何なのかきちんとその目で確認するまで、彼は追求の手をゆるめない。
「何それ。見せて!」
なんでもないったら! と言いながら、こうなったらもう無駄だということを知っている。
それを見せるまで彼はしつこく問いただし、見せなければ「浮気」だと疑われて、気まずくなるだけだ。
見せて! なんでもない! という押し問答を一分くらいくりかえして、俺はとうとう観念した。
気まずくなるくらいなら、言ったほうがマシだ。



それが何なのか説明して(ブログをやっているだけでけっして浮気じゃない、という説明だ)でも、読ませろ、という追求は拒否した。
「何で!?」
とすっとんきょうな声を出す彼と、またしばらく同じ押し問答をくりかえす。
どうどうめぐり、という単語が頭に浮かぶ。



見せたところで、彼に良いことなんてひとつもないのだ。
昔の男のことを書いているブログを読んで、いい気分になる男なんていない。
俺がそこだけは譲らない、という語調で拒否してると、今度は拗ねはじめた。
ひとは付き合ってる相手にしか見せない顔というのが誰にでもあるけれど、彼のばあい、拗ねることだろうとおもう。



「昔の事とか書いてるし。見たって何もならないよ?」
俺はトドメを刺すつもりで言った。
事実、俺はやましいことをしているつもりはないし、ブログを書くことなんて何とも思っていないのだ。
ぜんぶ昔の事だし、終わったことだ。
それを、まるで捕り物帳みたいに取り締まられても困るし、これは俺にとっての回顧録のようなものだ。
かつての自分、いまの自分。
かつての気持ちと、その描写。
それがこのブログであり、それを見たところで、彼には一銭の得にもならない。



「…………」
彼は黙ってこっちを見やった。
訴えかけるような目で、俺は自分がひどく悪いことをしているような気がしてしまう。
責められているような錯覚をおぼえて、気が滅入る。
だから俺は、
「見たけりゃ、見れば?」
と、言ってみる。
見られてまずいことは何もない。
「いや、いい」
彼はぴしゃりと言い放ち、また押し黙る。
これである。彼はこういうところで子どもっぽい。
今年35になる男が、たかだか彼氏のブログごときで機嫌をそこね、勝手に想像を巡らして逡巡しているのだ。
30代なんてもう立派な大人で、恋人といえど過度な干渉はしないものだと昔は思っていたけれど、彼と出会ってその幻想は打ち砕かれた。
というより、皆そんなものなのかもしれない。
自分の恋人が黙ってブログをしていたと知ったら、何かやましいことでも書いているんじゃないかと疑うものなのかもしれない。
「見たいなら探せばすぐ見つかるよ」
「いい」
「何でだよ」
「いい」
「………」
俺も黙るしかなくなった。
自分がひどい極悪人のような気がして、でもそんなことを感じるのはおかしいと思い直す。



ふたりとも黙ったまま、ジムに行く準備をはじめた。
黙ったまま家を出て、彼の、パールホワイトカラーのステップワゴンに乗り込む。
きょうはお風呂だけのつもりだ(火曜日は、受けたいレッスンがない)。
その後で「焼肉に行こう」という段取りになっていた。
どうせ風呂だけなら久しぶりに焼肉にいこう、と。
それも今日はなしかな、と思いながら、彼も俺も黙ったまま交差点にさしかかる。
彼の太ももに手をおいて、彼の体温を感じる。
俺は運転している彼氏の左太ももに手をおくのが好きだ。
冬は暖かいし、なんとなくそれが俺たちのスタイルになってしまっている。
彼の体温を手のひらに感じながら、何か言うタイミングを測っていると、彼のほうから、
「今日は焼肉はなし!」
と、とつぜん明るい口調で言った。
さっきまでのテンションを振り切るかのように。
「いやだ!」
と、俺は言ってみる。
じっさい楽しみにしていたし、彼がそう言う類の意地悪を言うのは日常茶飯事だ。
俺の反応をうかがって楽しんでいるだけで、ほんとうはそんなこと思っていないし、しないことはわかっている。
「きみが黙ってブログなんかやってるからだよ」
彼はなおもいたずらっ子みたいな顔で続ける。
「じゃあ俺が、きみが昔の事話してるときどんな気持ちになるか考えたことないでしょ?」
だから俺も意地のわるいことを言ってみる。
彼は、昔の男のことをときどき話して聞かせる。
俺が、もういいって、と言っているにも関わらず、包み隠さず話し聞かせるのだ。
それを聞かされる俺の気持ちを説明しようとしても上手くいかない。
呆れていると言ってもいいし、怒っていると言ってもいい。
とにかく聞きたくないのに、過去の男との顛末を話す彼を、ほとんどさめざめした気持ちで聞くともなく聞いていた。
そして決まって最後には、俺はけらけら笑ってしまうのだ。
過去の恋人のこと、自分の知らない彼の姿を思い描いて、それがひどくおかしくて。



「ないよ」
さっきの質問(じっさいには質問というより牽制だったのだけど)に彼がすがすがしいほど意地悪に答えた。
予想通り、と、俺はおもって、また笑ってしまう。
ひどい、と言いながら、このひとは本当に意地悪だ、と、とうの昔から知っていたのに何度もそう反芻した。
「ほんとひどいよね、きみ」
だから俺はそう言ってみる。
彼にまるでダメージがないのはわかっているけれど、力のかぎり抵抗を露わにすることしかできない。
「意地悪」
と言って、
「俺が意地悪なこと知ってるでしょ」
と、さも正論を言うような口調で彼が言った。
その通り、と思いつつ、いつのまにか空気がさっきまでの気詰まりなそれと違って、いつも通りの会話になっていることに気づいた。
俺も彼も笑っているし、ブログのことなんて全然気にしてない、といった風情で彼がべらべらと俺にたいする悪口をしゃべる。



俺はなぜか安心してしまう。
悪さがみつかった子どものように、バツの悪い気持ちで心細かったのが嘘みたいで、そうおもって初めて、バツの悪い気持ちでいたのだと気づく。
ブログをやることなんて何とも思っていないけれど、それで彼が本気で嫌がったらどうしただろう、と考えて、それでもしていただろうな、とすぐに結論づけた。
だって、ブログって始めると、楽しいし。
ランキングがあがっていくのも面白いし。



とにかく今は、書きたいと思う。
それを彼にとやかく言われる筋合いはないはずだ。
自分だって、昔の男の話をわざと聞かせるような男なんだから。



「なんで昔のこと話すの嫌がるの?」
彼がうすら笑いを浮かべて聞いた。
わかっている。彼がなにを期待しているのかは、わかっている。
「嫌だから」
と、でも俺はその答えを言わない。
言ってやるもんか、と思い、自分で言ってみろ、と強気で念じた。
「ヤキモチでしょ?」
彼が堪えきれない、といった感じでこっちを見ながら言った。
意地悪そうな顔で、どこか満足げに。
「そうだよ?」
だから俺も、答えてやる。
彼の望み通りの答えを。
すこし強気で、ふてぶてしく響くように。
彼がにやりと笑ったのと、俺の負けだ、と思ったのと、たぶん同時だったと思う。





結局あのあと、直前まで「焼肉はおあずけ!」と意地悪を言い続けた彼は、予定通り焼肉に連れて行ってくれた。
そうして俺は、彼は絶対連れて行ってくれると知っていた。
口だけなのだ。このひとは。



もうブログのことには触れない。
俺も何も言わないし、彼のほうも、たぶんわかっているのだ。
何をわかっているのかはわからないけれど、きっと何かわかっている。
彼はそのうちこのブログを探し出すかもしれないし、探さないかもしれない。
それは彼次第だ。



「きみのことも書いてるよ」
だから俺は意地悪く言ってみる。
すこし鼻持ちならない言い方で、見下すように。
「どうせ悪口ばっか書いてるんでしょ!」
彼も負けじと応戦してくる。
負けず嫌いなのだ、このひと。
俺も彼もすっかり楽しい気分になっていることに気づいていて、じゃんじゃん肉を頼む。
ひどくご機嫌で、愉快な夜だった。
隠し事はばれてしまったけれど、だから何だと言うのだろう。
俺は言う必要のないことを言わないことに、なんの後ろめたさも感じていない。
すべてを分かつことなんて不可能だし、重たくなるだけだ。
今はただ、この場が楽しくて、意地悪だけどこのひとといっしょに居たい、と思わせてくれる、目の前の男が好きなだけなのだ、と、柄にもなく思ってみる。
焼肉の煙がたちこめる個室は、こうこうと明るく、まるで不都合なんて何もないと感じさせてくれる。
それは、幸福なことだな、と思って、彼のくだらない冗談で笑った。





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