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Dream's a dream :: 2015/02/05(Thu)

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毎日、仕事に行く道中は自転車に乗りながら、颯爽とはほど遠い必死さでペダルを漕ぐ。
都会のスタイリッシュな若者が、格好良くマウンテンバイクでバックパック背負って、颯爽と風を切って走る姿なんてうそっぱちだと思う。
あるいは、選ばれた、ごく一部の人たちだけがその手の格好良さを発揮しているのかもしれない。





08:58。
BGMはDuran Duranで『Nite Runners』





仕事に行きながら、ステップワゴンのパールホワイトカラーが俺の横を走り去っていくのをみると、彼氏の車なんじゃないかとおもってナンバープレートを確認するのが、俺の癖だ。
彼の車のナンバーは、もうずっと早い段階からしっかり記憶してある。



勿論、それは彼の車なんかじゃなく、まったく知らない他人の車でしかないのだけれど、パールホワイトカラーのステップワゴンをみるとどうしても彼のことを思ってしまうのだ。
たぶん俺だけじゃないはずだ、と、おもう。
そういう些細な一瞬に、誰かのことをふいに思い浮かべてしまうのは、どんな人にもある得ることだとおもう。
それは今この段階ではしあわせなことだけれど、もし、この先ふたりの関係にのっぴきならない状況が襲ってきたばあい、そういう " ふいうち " は全く心苦しいものになってしまうはずだ。
いま、この楽しさやしあわせを手放す気なんて、俺には毛頭ないけれど、一方でこんな楽しさやしあわせが永遠に続くのだろうか、と、寄る辺のない不安をおぼえるのも事実だ。



しあわせや心安さを感じるのも、不安や孤独を感じるのも、どちらも " ふいうち " で困ってしまう。
夢ならいいのに。そう思って、夢はいつか醒めるものだと俺はどこかで気づいている。
夢を現実におきかえられても、それが楽しい、とか、しあわせ、とか、満ち足りた、とかそんなポジティブな言葉で事足りるか、不安とか、寄る辺ないとか取りつく島がないとか、そんなネガティブな言葉をかきあつめた悪夢になるのかは、俺には決められない。



ただわかるのは、いい夢もわるい夢も、いつかは醒めることだ。
どんなに今が完ぺきで、満ち足りていて、仕事が充実していて、学校が楽しくて、勉強がうまくいっていて、不満なく過ごしていても、こんな日々がずっと続くわけがない、と、どこかで冷ややかに思っている。
なかなかつめたい性格だと思うけれど、そういう人間だから、しょうがないのだ。





つい最近、仕事の先輩の女性が離婚した。
付き合っている頃から数えて、十四年くらい連れ添った男と、彼女はびっくりするくらいあっさりと別れた。
それはもう、見事なほどさっぱりしていた。理由は詳しくは聞かなかったけれど、ある日帰ったら、
「私の荷物が外に置いてあった」
そうで、仕方なくそれを持ってその日はビジネスホテルに泊まったらしい。
すぐにマンスリーマンションだか、ともかく部屋を見つけて一人暮らしを始めて、旦那である男から「話がしたい」と言われても突っぱねて、取り合わなかったという。



「私は変わらないよ?」
そう言って彼女は、私の性格知ってるよね? と、(今となっては " もと " )旦那である男にぴしゃりと言い付けた。



それでも、二ヶ月ほど離婚届が役所に提出されることはなく、2014年から2015年へまたがって、ようやくつい先日、それが提出されて受理されたらしい。
その先輩は、清々した、とか、すっきりした、とかそんな雰囲気は微塵も感じさせずに、今まで通り仕事を続けている。
彼女が離婚したとき、だから俺は、時間なんてまったく意味のない飾りだな、と、しみじみ思った。
十四年もいっしょに暮らしてきた男と、いともあっさり離婚を決意して(もっとも、十四年間のあいだで、三回は「危機的状況があった」らしいけれど)勝手に部屋を見つけて、ひとりでちゃっちゃか離婚の準備を進めた彼女を、俺は尊敬すらする。



長い夢から醒めたみたいに、しっかり起きて入念に化粧をし、髪をきっちり整えて、車で毎朝出勤してくる彼女は、すくなくともひどく現実感溢れる女だとおもう。
現実を受け容れて、現実を生きるひとに見えた。それは彼女自身よくわかっているとおもう。
離婚するずっと前から、彼女は、
「なにが起こるかなんて、わかんないからね」
と、まるで知っているみたいに言っていた。
これは夢で、いつかは醒めなければならないのだと言っているような気がした。





この一ヶ月は、すごく慌ただしく、充実していた。
途中インフルエンザで無為な日々を過ごしたけれど、あのインフルエンザがなければ、多分こうしてまたブログを書こうと思うこともなかったような気がする。
仕事は多くて、さらに年明け早々販売実績アップキャンペーンのリーダーに任命されたり、あぁ現実は大変だなぁ、と、心の底からおもっていた。


その日は飲み会で、新年会を兼ねた、退職する後輩の送別会でもあった。
俺はそういうたぐいの飲み会では酒は飲まないと決めている。
だから延々とカルピスソーダを飲みながら、おいしいのかおいしくないのかよくわからない一品料理を、みんなでぎゃあぎゃあ言いながら口に運んだ。
後輩の男の子は、最後の勤務がおわったあとに髪を赤色に染めたらしく、取り外し可能なエクステのようなものをつけていて、見るからにヒッピーか、そうでなければジャマイカのレゲエアーティストみたいで、とにかくかなりファンキーないでたちで現れたので、俺たちは大いに笑ってからかった。



誰も口にはしないけれど、それぞれが楽しさをめいっぱいに吸い込んで、吐き出して、居酒屋の個室は満ちたりた空気で色濃く熱気をはなっていた。
くだらない冗談を言い合っては笑い、それに呼応するように飲み物は減っていった。
お正月の殺人的な忙しさや、そのあとに残った疲れをも帳消しにしてしまうくらい俺たちははしゃぎ、幸福だった。





一次会が終わる時間になって、会費が徴収されていく中、くだんの後輩に用意していたプレゼントを渡した。
仕事中に撮られたスナップ、プライベートで遊んだときに撮ったのだろう変顔写真、それを網羅して一枚一枚おさめられたアルバムと、なぜかTENGAを、彼にプレゼントした。
TENGAは職場の先輩のチョイスで、その先輩は男の子にはいつもTENGAを贈る。
そして贈られた男の子たちは皆喜ぶ。健全な男の子ふうに、うひょー、とかなんとか言って。



「ここを辞めても、俺らはずっと友達だから」
誰かが言い、周りは笑いにつつまれる。
くっさー! とか、青春か! とか、それぞれが思うことをつっこんで、でもけっしてその場がしらけないように明るいテンションは崩さない。
あざーすっ! とくだんの後輩は言って、
「がんばります!」
と、ちょっぴりしみじみした顔で高らかに宣言した。



外に出て、みんなで手で大きな花道をつくる。
結婚式とかでやるような、手を頭上高くあげて繋いで、巨大なトンネルを作ってくぐらせる、あれだ。
くだんの後輩は照れたように、でもそれを見てとられないようおちゃらけた顔を作って、一直線にくぐった。
みんなで笑って、ふいにさみしくなる。
もうさっきの満ちたりた空気ではなかった。
つめたい夜空のしたで、子どもみたいに頬を上気させ、顔を赤らめた大人たちが笑いあう。
子どもじみた行為を自分たちで茶化すみたいに。





「えーしょごくんカラオケ行かないのー!?」
「うん。今日は帰るわー」
「つまんないなー」
「まぁ俺もすぐ帰ると思うけど~」
「珍しい~絶対来ると思ったのに!」
「てか眠くない?」
「明日仕事だりーなぁ」
「私あした早番だし。笑」
「俺休み~!!うへ」
「いいなー。休みた~い!!」



誰がなにを言っているのかわからないけれど、ともかく俺はその日、帰ることにした。
早く帰りたかった。後ろ髪ひかれて長く留まれば留まるほど、あとあと自分がさみしくなるだけだと、わかっている。
いつもそうなのだ。
飲み会の帰りは、いつも、ひどく孤独でかなしい気持ちになる。
たむろする酔っ払いのサラリーマンや、女の子をナンパしている若い男や、路上でこの世の終わりみたいに激しくいちゃついているカップルを、ひとりで掻き分けながら帰るのは、ひどくさみしい。
酒を飲んでいたら、なおさらだ。帰ってる途中で酔いなんて醒めてしまう。
まるで、楽しい夢から醒めるみたいに。



今から帰る、と、彼氏にLINEを送って、靴音を響かせながら歩く。
ざっざっざっ、と、響くそれを聞きながら、すこしでも孤独が紛れればいいと思う。
「迎えに行くよ」
と、彼氏から返信があって、俺はほとんど安堵した。
これからひとりで、彼の家まで帰るのはけっこう面倒くさい。
自転車で延々と、実家から一時間ほどかかる彼の家まで、iPhoneで音楽を聴きながら帰るのは、気楽だけれどこころぼそい。



家に帰り着いて、とりあえずシャワーを浴びた。
煙草のにおいや、ビールのにおい、料理や香水のにおいを熱いシャワーで落としていく。
さっきまでの楽しさや幸福も、ぜんぶ一緒に、排水溝に流れていってしまったみたいな気がした。
さみしさも一緒に流れていってしまえばいいのに、と、思いながら、俺は目を閉じて髪を洗う。
頭からかぶったシャワーの熱さを全身でうけながら、ほんのいっときの夢に浮かされていた数時間前の自分自身をおもった。
もうそこには居ない自分を。





「はい。お土産」
迎えにきた彼氏に言って、ミスドの袋をちらつかせた。
飲み会のときは必ず、彼になにかしらお土産を買っていくことにしている。
イタリアントマトのエクレアやら、ミスドやら。
彼氏はそれには目もくれずに、「こんな時間まで遊び歩いて」と悪戯っぽい目で言った。
すでに日付は変わっている。ステップワゴンのデジタルの表示を見ながら、言い訳するみたいに軽く笑ってみせた。
「不良が」
彼が言って、そう言うときの言い方が完全にちょっかいを出すときのそれなので、俺はまた笑ってしまう。
「帰ろう」
と、俺は言って、ついさっきまでの夢のような時間をおもった。
いま、この瞬間が夢なら醒めないでほしいと思いながら、まばらな星空の下で、ステップワゴンのエンジン音が響いた。





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