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いじわる :: 2015/02/12(Thu)

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「ふたりの間に隠し事はなし!」というある種のカップルのルールみたいなものを、俺は信用していない。
そもそも、 " 隠し事が何もない " なんて状況がありえないことだ。
好きだからこそ言いたくないこと、というのは普通のことだし、言う必要のないことを言わない、という判断をすることだってある。



たとえば、このブログのように。





2月11日、現在16:15。
BGMはない。





このブログの存在は彼氏には内緒にしてある。
正確にいうと、 " 内緒にしてあった " 。



昨日たまたま、FC2ブログのアプリを見られるまでは。



「何それ」
すぐにアプリを消したけれど、彼氏は見逃さない。
地獄耳、という言葉があるように、地獄目、という言葉もあるんじゃないかと俺はおもう。
俺の彼氏はそういう節が、ままある。
けっして見逃さないし、怪しいものは問いただす。
「何でもないよ」
と、俺がいくら言っても無駄だ。
それが何なのかきちんとその目で確認するまで、彼は追求の手をゆるめない。
「何それ。見せて!」
なんでもないったら! と言いながら、こうなったらもう無駄だということを知っている。
それを見せるまで彼はしつこく問いただし、見せなければ「浮気」だと疑われて、気まずくなるだけだ。
見せて! なんでもない! という押し問答を一分くらいくりかえして、俺はとうとう観念した。
気まずくなるくらいなら、言ったほうがマシだ。



それが何なのか説明して(ブログをやっているだけでけっして浮気じゃない、という説明だ)でも、読ませろ、という追求は拒否した。
「何で!?」
とすっとんきょうな声を出す彼と、またしばらく同じ押し問答をくりかえす。
どうどうめぐり、という単語が頭に浮かぶ。



見せたところで、彼に良いことなんてひとつもないのだ。
昔の男のことを書いているブログを読んで、いい気分になる男なんていない。
俺がそこだけは譲らない、という語調で拒否してると、今度は拗ねはじめた。
ひとは付き合ってる相手にしか見せない顔というのが誰にでもあるけれど、彼のばあい、拗ねることだろうとおもう。



「昔の事とか書いてるし。見たって何もならないよ?」
俺はトドメを刺すつもりで言った。
事実、俺はやましいことをしているつもりはないし、ブログを書くことなんて何とも思っていないのだ。
ぜんぶ昔の事だし、終わったことだ。
それを、まるで捕り物帳みたいに取り締まられても困るし、これは俺にとっての回顧録のようなものだ。
かつての自分、いまの自分。
かつての気持ちと、その描写。
それがこのブログであり、それを見たところで、彼には一銭の得にもならない。



「…………」
彼は黙ってこっちを見やった。
訴えかけるような目で、俺は自分がひどく悪いことをしているような気がしてしまう。
責められているような錯覚をおぼえて、気が滅入る。
だから俺は、
「見たけりゃ、見れば?」
と、言ってみる。
見られてまずいことは何もない。
「いや、いい」
彼はぴしゃりと言い放ち、また押し黙る。
これである。彼はこういうところで子どもっぽい。
今年35になる男が、たかだか彼氏のブログごときで機嫌をそこね、勝手に想像を巡らして逡巡しているのだ。
30代なんてもう立派な大人で、恋人といえど過度な干渉はしないものだと昔は思っていたけれど、彼と出会ってその幻想は打ち砕かれた。
というより、皆そんなものなのかもしれない。
自分の恋人が黙ってブログをしていたと知ったら、何かやましいことでも書いているんじゃないかと疑うものなのかもしれない。
「見たいなら探せばすぐ見つかるよ」
「いい」
「何でだよ」
「いい」
「………」
俺も黙るしかなくなった。
自分がひどい極悪人のような気がして、でもそんなことを感じるのはおかしいと思い直す。



ふたりとも黙ったまま、ジムに行く準備をはじめた。
黙ったまま家を出て、彼の、パールホワイトカラーのステップワゴンに乗り込む。
きょうはお風呂だけのつもりだ(火曜日は、受けたいレッスンがない)。
その後で「焼肉に行こう」という段取りになっていた。
どうせ風呂だけなら久しぶりに焼肉にいこう、と。
それも今日はなしかな、と思いながら、彼も俺も黙ったまま交差点にさしかかる。
彼の太ももに手をおいて、彼の体温を感じる。
俺は運転している彼氏の左太ももに手をおくのが好きだ。
冬は暖かいし、なんとなくそれが俺たちのスタイルになってしまっている。
彼の体温を手のひらに感じながら、何か言うタイミングを測っていると、彼のほうから、
「今日は焼肉はなし!」
と、とつぜん明るい口調で言った。
さっきまでのテンションを振り切るかのように。
「いやだ!」
と、俺は言ってみる。
じっさい楽しみにしていたし、彼がそう言う類の意地悪を言うのは日常茶飯事だ。
俺の反応をうかがって楽しんでいるだけで、ほんとうはそんなこと思っていないし、しないことはわかっている。
「きみが黙ってブログなんかやってるからだよ」
彼はなおもいたずらっ子みたいな顔で続ける。
「じゃあ俺が、きみが昔の事話してるときどんな気持ちになるか考えたことないでしょ?」
だから俺も意地のわるいことを言ってみる。
彼は、昔の男のことをときどき話して聞かせる。
俺が、もういいって、と言っているにも関わらず、包み隠さず話し聞かせるのだ。
それを聞かされる俺の気持ちを説明しようとしても上手くいかない。
呆れていると言ってもいいし、怒っていると言ってもいい。
とにかく聞きたくないのに、過去の男との顛末を話す彼を、ほとんどさめざめした気持ちで聞くともなく聞いていた。
そして決まって最後には、俺はけらけら笑ってしまうのだ。
過去の恋人のこと、自分の知らない彼の姿を思い描いて、それがひどくおかしくて。



「ないよ」
さっきの質問(じっさいには質問というより牽制だったのだけど)に彼がすがすがしいほど意地悪に答えた。
予想通り、と、俺はおもって、また笑ってしまう。
ひどい、と言いながら、このひとは本当に意地悪だ、と、とうの昔から知っていたのに何度もそう反芻した。
「ほんとひどいよね、きみ」
だから俺はそう言ってみる。
彼にまるでダメージがないのはわかっているけれど、力のかぎり抵抗を露わにすることしかできない。
「意地悪」
と言って、
「俺が意地悪なこと知ってるでしょ」
と、さも正論を言うような口調で彼が言った。
その通り、と思いつつ、いつのまにか空気がさっきまでの気詰まりなそれと違って、いつも通りの会話になっていることに気づいた。
俺も彼も笑っているし、ブログのことなんて全然気にしてない、といった風情で彼がべらべらと俺にたいする悪口をしゃべる。



俺はなぜか安心してしまう。
悪さがみつかった子どものように、バツの悪い気持ちで心細かったのが嘘みたいで、そうおもって初めて、バツの悪い気持ちでいたのだと気づく。
ブログをやることなんて何とも思っていないけれど、それで彼が本気で嫌がったらどうしただろう、と考えて、それでもしていただろうな、とすぐに結論づけた。
だって、ブログって始めると、楽しいし。
ランキングがあがっていくのも面白いし。



とにかく今は、書きたいと思う。
それを彼にとやかく言われる筋合いはないはずだ。
自分だって、昔の男の話をわざと聞かせるような男なんだから。



「なんで昔のこと話すの嫌がるの?」
彼がうすら笑いを浮かべて聞いた。
わかっている。彼がなにを期待しているのかは、わかっている。
「嫌だから」
と、でも俺はその答えを言わない。
言ってやるもんか、と思い、自分で言ってみろ、と強気で念じた。
「ヤキモチでしょ?」
彼が堪えきれない、といった感じでこっちを見ながら言った。
意地悪そうな顔で、どこか満足げに。
「そうだよ?」
だから俺も、答えてやる。
彼の望み通りの答えを。
すこし強気で、ふてぶてしく響くように。
彼がにやりと笑ったのと、俺の負けだ、と思ったのと、たぶん同時だったと思う。





結局あのあと、直前まで「焼肉はおあずけ!」と意地悪を言い続けた彼は、予定通り焼肉に連れて行ってくれた。
そうして俺は、彼は絶対連れて行ってくれると知っていた。
口だけなのだ。このひとは。



もうブログのことには触れない。
俺も何も言わないし、彼のほうも、たぶんわかっているのだ。
何をわかっているのかはわからないけれど、きっと何かわかっている。
彼はそのうちこのブログを探し出すかもしれないし、探さないかもしれない。
それは彼次第だ。



「きみのことも書いてるよ」
だから俺は意地悪く言ってみる。
すこし鼻持ちならない言い方で、見下すように。
「どうせ悪口ばっか書いてるんでしょ!」
彼も負けじと応戦してくる。
負けず嫌いなのだ、このひと。
俺も彼もすっかり楽しい気分になっていることに気づいていて、じゃんじゃん肉を頼む。
ひどくご機嫌で、愉快な夜だった。
隠し事はばれてしまったけれど、だから何だと言うのだろう。
俺は言う必要のないことを言わないことに、なんの後ろめたさも感じていない。
すべてを分かつことなんて不可能だし、重たくなるだけだ。
今はただ、この場が楽しくて、意地悪だけどこのひとといっしょに居たい、と思わせてくれる、目の前の男が好きなだけなのだ、と、柄にもなく思ってみる。
焼肉の煙がたちこめる個室は、こうこうと明るく、まるで不都合なんて何もないと感じさせてくれる。
それは、幸福なことだな、と思って、彼のくだらない冗談で笑った。





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