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If I Were A Girl :: 2015/02/02(Mon)

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たまに思うことがある。
女の子だったらよかったのにな、と。
俗世間はひどく不自由で、自己否定の精神だけはじょうずに芽生えさせる。
自分がひどく愚かなんじゃないかって気に、させる。





10:14。
BGMはBeyonceで『If I Were A Boy』


最初に聴いたとき、俺はどういうわけかてっきり、これはLGBTの曲なのかな?と、思った。


たぶん、「If I were a boy = 私が男の子だったら」という意味なので、そう勘違いしたんだろうと思う。
ほんとうはいつもの、ビヨンセお得意の男性バッシングソングのバラード版といったところだ。浮気男の、歌。


私が男の子だったら
電話の電源は切っておいて
壊れたってことにしておく
そしたら彼女がいないんだって思ってくれる
まず自分の都合を考えて
ルールはそれに合わせて作るんだ



こんな感じの歌詞。







男を好きになると、ややこしいなと思うことがよくある。


男っていうのは友達の時は、楽しくて、気兼ねなくて、心地よくて、ばかやって、やれあの女は可愛いだの、やれあの後輩がムカつくだの、
そんなどうでもいい話で盛り上がって笑ってられる単純な存在でいてくれるから、こっちもこころおきなく単純な存在でいられるんだけど、
いざ目の前の男を恋愛の対象にしようとすると、事はむつかしくなる。
恋愛というと聞こえはいいけれど、要は性欲が絡むと男っていうのはほんとうにどうしようもない。


まず、準備が男女のそれに比べてめんどうくさい。
ゲイのばあい、セックスの前は必ず、どちらがタチで(攻める役のこと)、どちらがウケなのか(攻められる役)、ハッキリさせないといけない。
それに、まあ軽い抜きあいならまだしも、最後まで致すなら、それはウケの負担というのは大きくなる。
然るべき部分を入念に洗って、セックスする数時間前は食事を断ち(これは個人差があるけれど)、タチのテンションによってはイかせてもらえなかったり、痛かったり、物足りなかったり。



まぁ、セックスに限った話ではないけれど。
セックス以前の問題を抱えてる子もいる。
好きになった相手が、異性愛者だったら?





どうする?





好きに理由はないってよく言うけど、理由があればいいのに、と、いつも思う。
理由さえあれば、まだ強がっていられるのに。
でもそれは、ある日急に降って湧いて出る。
掃除した部屋も次の日には、うすくホコリがゆらめいてるように、恋心も、頭の中で整理してつきつめようとしても、すぐにほころびが出てくる。


好きって何だよ。好きの定義は?


自問自答しながら、気がついた時には、部屋の中のあるのかないのかも微妙なホコリは、ねずみ色したはっきりと目に見えるものとして存在を主張してくる。
放っておけば、それはどんどん溜まっていって、大きくなる。
ふわふわと、地に足がついていないから、ふわふわと、ただよう。





中学生の同級生で、ユウキ、という男の子がいた。
ソフトボール部の副キャプテンで、勉強は中の下くらい、つねにダルそうで、よく授業中に居眠りをしては先生に怒られていた。中学生のくせに煙草を喫っていて、すきな銘柄はセヴンスター。誰かからもらったらしいジッポのライターと、セヴンスターは彼のお気に入りだった。一重まぶたで、すこし目付きが悪く、でもすこしはにかみがちで、髪を伸ばすのはめんどうだからと坊主頭であることが多かった。


ユウキはけっして聡明なほうではなかったし、むしろちょっと頭のネジが緩んでるんじゃないかと疑うくらい単純というか、良くいえば子どもっぽくて、悪くいえば馬鹿だった。


「しょご!」


普段は名字で呼ぶ癖に、たまにそうやって名前で呼ぶ彼を、特になんともおもっていなかった。おもっていないつもりだった。





だから初めてユウキからキスされた時、じぶんの心のなかにさざ波のような音がしたのが分かったから、動揺した。
じぶんで記憶してる限り、ファーストキスは彼だった。
愛じゃない。恋でもない。好奇心。ただの興味と面白半分でのキスは、けれど、俺の心をつかんで離さなかった。


元々は、その日泊りに来ていた友達ふたりのうち、ひとりがユウキで、俺が寝ているあいだにそのふたりは「ただなんとなく」俺にキスした、と、言った。
それは勿論ふいうちだったし、寝ているあいだにそんな事をされているとは知らない俺は、真っ向から抗議した。


「はぁ?なんで?男同士なのに。てか俺ファーストキスだったんですけど!」


ぷりぶり怒りながら俺はまくし立てた。ファーストキスを奪われたというのが腹立たしかったし、何より半笑いの彼らの顔にまた腹が立った。ユウキはすこしだけ呆れたような顔で、

「もう諦めろよ」

と、言った。そう言いながら、口を近づけてきて、された。はっきりと。唇のやわらかい感触とユウキのにおい。ユウキはすこしだけベビーパウダーのにおいがする。思わず肩に手をまわして抱き寄せたくなるような、そんなにおい。


俺はなにも言えなくなった。あの瞬間から、心のなかに妙なしこりが出来たような、違和感のようなものがあるのがわかった。もやもやと言ったほうがいい。心臓が、すこしだけ早音をうつのがわかった。





好きなのかもしれない。そう心の中で思いかけてはやめた。考えることもしなかったし、考えたくなかった。
考えて、もし、そうだったら? 好きだなんてありえない。何かの間違いだろうし、たぶん、たぶん、たぶん間違いだ。
オトコドウシだ。俺は女の子じゃないし、ユウキもそうじゃない。
オレハオンナノコジャナイ。





もし俺が女の子だったら





中学三年の、夏から秋にかけて、ユウキの実家にすこしだけ居候のような形でお世話になったことがある。俺の家の事情で、ユウキのお母さんは快く受け入れてくれた。彼の家はお母さんとお父さん、ひとつ年上の兄と、三匹の犬がいた。モモと、ポチと、ハナ。三匹ともすごくよく吠える犬で、最初にユウキの家に行ったときはいつも吠えられていたけれど、いつのまにか懐いてくれるようになった。特に、ハナは俺のお気に入りだった。


兄ちゃんは中学時代はユウキと同じソフトボール部だったけど、高校ではバスケ部で、よく家でケーブルテレビのNBAの試合を観ていた。メガネをかけて、あまりユウキと似ていない。
お父さんのほうは、少し怖い雰囲気のひとで、同じくメガネをかけてよく台所前の食卓に腰掛けて、パーラメントというほそながい煙草を喫っていた。ランニングシャツとパンツ一丁で、たまにそこから男性器がひかえめに、顔をだしていた。
無口なひとだった。




「ゲームばっかしてないでちっとは勉強しろ」




そうぶっきらぼうに言っては、煙草をふかしてた。ユウキは、お父さんの事があまり好きじゃない。
いつも、お父さんを睨んでた。強く、でもすこし怯えたような、犬のように濡れた瞳で。





ユウキの家にお世話になって、何ヶ月か経ったころには、ユウキは俺の中でとくべつな存在になっていた。
学校でも家でもいっしょだし、寝るときも、隣に布団をしいて寝た。ユウキはたいてい部活のノースリーブウェアーを着て寝ていた。たまに、上半身裸で。
ユウキの、ベビーパウダーのようなにおい。



好きかはわからない。でも、ユウキがただの友達という枠を超えて、じぶんの心の中で大きくなっていくのはわかった。ユウキは笑うとき目がなくなる。もともとあまり大きくない彼の目が、笑うと一段と細くなる。きれいな三日月形に、まるでくったくなどないと言うような顔で。ユウキの笑った顔は好きだった。それだけが、その時じぶんが断定できる、はっきりとした「好き」だった。




「俺きょう○○でさぁ~。笑」

『へぇー』

「そしたら3組の副担のさ、久保がなんかごちゃごちゃ言ってんだよ。まっじうるせー。もっ、ほんとカァ~って血がのぼってさ、思わず怒鳴りそうになったよ」

『まじか。笑』

「めっちゃあん時煙草喫いたかったもん。あ~あとで母ちゃんとか寝たら外に煙草喫いにいこーぜー」





ユウキの話はだいたいが「ムカついた話」と「きょう自分が思ったこと」と「他の友達がどうだった」という話ばかりで、別にそれがとくべつな事かというと全然そうじゃないんだけれど、その時の俺にはかけがえのない時間だった。
話の合間でユウキが笑うと俺も笑ったし、そうしていられることが何より嬉しかった。


「きょう篠田さんがさぁ~」
ユウキが言う。




「部活のとき手振ったら、むこうも振り返しゃいいのに、すげー笑ってんの。も、なんか知んないけど、すげー笑ってんの。笑」




篠田さん。ユウキの彼女で、陸上部のエースで、部活に集中したいからと土日もふたりでどこかに出かけることもなく、メールのやり取りと学校でちょこっと会話するくらいの、ほんとうに彼女なのかも怪しい彼女。ユウキの、彼女。


ユウキが篠田さんの話をするとき俺は、聞いてはいるが内心つまらなかった。他人の恋愛だから興味がないというわけではなく、ただ、篠田さんとのちょっとした出来事をのろけるユウキを見ているのが、つまらなかった。篠田さんの話をしているときの彼は、ちょっとだけ違う人みたいだ。ちょっとだけ、男っぽい顔で誇らしげに話す。


頭の中でいらいらが募る。どうしてそんな休みの日にどこかに遊びにも行ってくれない女のことでそんな嬉しそうに話せるのか。どうしてメールでしか会話しないくせにそんなに幸せそうな顔をするのか。どうして俺と話してるのに俺なんかここにいないと思わせるような気分にさせるのか。


わからない。わからない。ワカラナイ。


わかるのは、心臓がきりきりと痛むことくらいだ。きりきりきりきり、糸で擦られているような感じで、うっすら血が滲むような痛みが、しんしんと降りそそぐ夜気のように俺の自意識にはりついて、鬱陶しかった。


「好きだよって言ったら、好きだよって返してくれるんだ」


ユウキは尚も話し続ける。メールでしか聞いたことがないんじゃないかという篠田さんからの「好き」を、俺に話しながら反芻してる。嬉しそうに、目のないくったくのない、俺の好きなえがおで。





俺が、もし女の子だったら、自由にこいつに好きって言ってもいい。そしたら、篠田さんなんか放っといて、ふたりでどこにでも遊びに行ける。カラオケでも、河川敷でも、裏道の煙草を喫うひみつの場所にも、友だちのヤンキーが溜まってる場所にも。
そしたら、メールなんかじゃなく直接、こいつに好きって言える。
夜、寝ているこいつを横目で見ながらむりやり逸らして眠ることもない。
朝、学校にいくときにお互いへんな間隔をあけて歩く必要もない。


もし俺が、女の子だったら。もし、俺がーー


わかってほしいのに。俺の気持ちを知ってほしいのに。










だけど普通の男の子だから
わからないよね
わかるわけないよ











俺は男だから、言えないよ。言わないよ。なにも。ずっと。


「しょご、煙草喫いにいこーぜ」




ユウキはいつものように部活のときのノースリーブウェアーで、俺を呼ぶ。俺はそれに従う。外は風がここちよくて、星ひとつ見えない。
ユウキがセヴンスターに火を点ける。俺もおなじ、セヴンスターだ。
ユウキの吐いた煙がゆっくりと空中に舞いあがって、やがて空気と混ざってわからなくなる。
俺の気持ちみたいだと思った。
俺も煙を吐く。吐きだしたそれは、ユウキのほうに流れて、ぶつかって、すり抜けて、消えていった。
俺の気持ちみたいに。





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