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まちぶせ(前編) :: 2015/01/30(Fri)

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つめたい雨が、降っている。





23:22。
BGMはOwl Cityで『Tokyo feat. SEKAI NO OWARI』





ゲイとして生きよう、と決めたとき、というか、別に決めてなったわけじゃないし、何でか知らないけれどなってしまったんだから、受け入れるしかなかったというのが本当のところだけど、女の子をもう好きになることはないだろうなぁ、と、どこかで感じてはいた。



それは、「あの子は可愛くないからダメ」とか、「あの子は性格がわるいから嫌だ」とか、「あの子は俺より背が高すぎるから苦手だなぁ」とか、そういう単純な理由でかたづけられないから、厄介なのだ。
もちろん、可愛いとおもう女の子はいっぱい居るし、とても魅力的だなぁ~、と、思わず心を傾けるような子もいるし、自分より背が高いくらい全然(まぁ、低いに越したことはないけれど)へーきだし。



ただ、性的に、だめなのだ。


女の子とセックスする自分、というのが、もう全く、想像できない。


女の子をリードしてあげて、感じのいいお店に連れていって、おいしそうな色をした赤やブルーのお酒を飲んで、足元のおぼつかない彼女を、だまくらかして、近くのラブホとかに、連れていって、事を致す。
まずはどこから脱がすのだろう、あるいは向こうから脱ぐのかわからないけれど、ともかく "なにも無い状態 " にして、おっ始めるのだろう。


そういえば職場のノンケの○○くんは、まず胸を触りながら首筋を舐める、とか言っていたな。
それから徐々に手を下にやって、それからー。


うーん。だめだ。全然できる気がしない。
悪いけれど、気持ちが悪い。
女の子は俺にとって、良き女友達になりこそすれ、良き彼女にはなりえない。
むかしは女の子が好きな時代も、あったんだけどなぁ。


だから、たまーに(ほんとうにたまーに)間違って女の子から告白なんかされたりすると、ぎょっとしてしまう。
そして、心の底からおもう。


かわいそう、と。始めから望みなしなんて、かわいそう、と。





一昨年の冬、職場の短期アルバイトのひとりとして、彼女はやってきた。
クロダさんといって、髪を茶色にそめて肩ぐらいまで伸ばし、仕事のときはそれを後ろで束ねていた。
25歳で、就職先はもう決まっているらしいが、あいだが空くのでそのあいだだけ働きたいということらしかった。


背は俺よりも低くて、なんとなく小動物っぽい、というのが、俺の彼女に対する第一印象だった。
小動物っぽいというのは、けっして貶めているわけじゃなく。
チワワとかそういう類のものじゃなく、バンビとかそんなの。




クロダさんの他は、やや妙齢の女の人ふたりと、その前の年も短期で働いてくれた男の子で、だから若い女の子というのは、クロダさんくらいだった。


彼女はじっさい、真面目に働いてくれた。
指示したこともきちんと飲み込んで理解し、わからないとなればすぐに質問してきた。
「これ、こんな感じでいいですか?」
クロダさんとの最初の会話は、そんなもんだったと思う。


『うん。そんな感じ。ありがと!』
「はい!いーえ!」


肯定と謙遜を、なんだか奇妙な組み合わせで、すこし笑いながら言った。
笑うとますます、小動物っぽい。


「お正月って、やっぱり人すごい多いんですかね?」

クロダさんは年末年始の一ヶ月ちょっとのあいだ、働くことになっていた。

『んー。だね。多いよ。正月にここ来たことある?』
「いえ、ないです!」
『そっかぁ~。じゃ、たぶん死ぬよ。凄まじくて。笑』
「えーまじですか!笑 こわいな~」


俺は彼女に敬語はつかわなかった。正確には、"たまに" 使ったけれど、基本的にはタメ口で話したし、彼女がそれを咎めることもなかったから(歳は俺のほうが下だとクロダさんも知っていた)、そのままラフな感じで話していた。



クロダさんはその後もちょこちょことは話しかけてくるが、仕事に関するちょっとしたことが主で、特にそれ以上の会話はなかった。
もちろん、彼女が就職するという薬局のこととか、どこに住んでるのか、とか、そういう些末な事なら話したけれど。



「しょごさんって、兄弟とかいますかぁ?」

クロダさんは年上なのに、敬語で話す。

『兄弟?妹がいるよー』

「あーっぽい!なんかお兄ちゃんーって、感じ!」

『まじか。笑 そんなオーラ出してた?俺』

「出してます出してます!私は弟がいるんですよねー」

『へぇー!弟なんだ?お兄ちゃんとかがいるのかと思ってた』

「弟なんですよー。多分あとからここに買い物に来ると思います」

『あ、まじ?どんな弟か、見よーっと!』

「ただのヤンキーですよー。笑」



クロダさんは笑うとき、口元に拳をつくって隠す。
癖なのか何なのかは知らないけれど、なんとなくそれが、女の子で珍しいなーと思ったのを、憶えている。



「あ!来た!…あれ、私の弟なんです」


そう言って彼女が向けた視線の先には、宣告どおりの「ヤンキー」が、似たようなヤンキーを連れて肩を " いからせながら " 、歩いてきた。
弟はクロダさんを見てニヤニヤはするが、話しかけはしない。
クロダさんも話しかけることはしない。


こういうとき、同僚とその身内のやり取りを観察するのは、ひどく楽しいと思う。
その人の性格がよく出る瞬間だと思うからだ。
すごく親しみを込めて話し込む人もいれば、そっけなく「うん」とか「あぁ」とか、こわれた音声ソフトみたいに同じ文言をくりかえしたり、無表情で、感情なんてないターミネーターみたいに事務的な会話をする人もいる。


クロダさんは喋らない派か、と、思って、観察するのはやめた。
ヤンキーの弟は、品物をひとつだけ、買っていってくれた。


金髪に染めた髪はだいぶん前に染めたらしく、根元がプリンで、目がびっくりするくらい細い。ドンキで売ってそうなジャージだかスウェットだかを上下に着て、でも財布だけはルイヴィトンというお決まりのヤンキースタイルだったので、可笑しかった。


これでキティちゃんのサンダルでも履いてれば完ぺきだな、と、思いながら、ありがとうございましたー、と事務的に(でもなるべく自然に)仕事をまっとうした。


『弟、めっちゃヤンキーだね』

「でしょー!恥ずかしいー。笑」

『まぁ、若いしいいんじゃない?笑 』


そんな適当なことを言いながら、そこそこに仕事をしていたら、クロダさんの上がりの時間がきた。



「お疲れさまでしたー!」


そう言って帰っていったのは、午後五時。


あと二時間がんばれば、俺も帰れるー。
そう思いながら残りの仕事にとりかかり、いつのまにか俺も上がる時間がきた。


そんなに忙しくもなかったので、定時より十五分遅れぐらいで上がった。
まずまずだ。帰れるときに帰らないと、うちの職場はズルズル働くことになる。




はぁー今日も疲れたなー。ジムに行って帰ろう。どうせ、彼氏が迎えにきてくれるし。
そう思いながら、出口まで歩く。携帯で時間をみると、午後七時半すぎ。
腹減ったなぁー、とか、ジムは風呂だけにして帰ろう、とかとりとめのない事を考えながら、出口を出た。





最初は誰かわからなかった。
何か、こっち見てんなー、と思って、よく目を凝らしたら、携帯から漏れているあかりで、クロダさんだとわかった。


「お疲れ様ですっ!」


丁寧にお辞儀してくれながら、クロダさんが言った。
俺はおもわずぎょっとしてしまう。
おいおい、あれから二時間以上経つぞ?何やってるんだろこの人。


『えっ!何やってんの!?』


だから素直に、言葉がでた。
何やってんの、だいぶ前に上がったよね? と。


「そうなんですけど……弟をちょっと待ってて!一緒に帰るんです」


クロダさんはごく自然にそう言った。考える間もなかったし、表情もふつうだった。
だから、俺は「あぁそうなんだー」と速攻で信じた。そう言われて疑う余地などないと、おもっていたしそのはずだった。


『そうなんだー。大変だね。』

「いやいや、別に。笑」

『じゃあ、俺ジムいくねー』


ジムは職場と同じ建物に入っているので、すぐそこだ。
さむかったし、早く暖かいお風呂に浸かりたかった。



クロダさんが「あの!」と言ったとき、だから正直にいえば、早くジムに行くことだけを考えていて、そのあと続く言葉を深く考える時間は、なかった。


「あの!よかったら、LINE教えてくれませんか?」

『LINE?別にいーけど』


別にいーけど。ほんとうに、そんな気分だった。LINE?別にいーけど。教えない理由など、あるだろうか?


「ほんとですか?ありがとうございます!」

『え、俺どうすればいい?』

「あ、私QRコードあるんで、これで読み込めますか?」

クロダさんがそう言って、まるで構えていたかのようにQRコードの画面を俺にむける。
俺はすなおにそれを読み込んで、「友達を追加」を選択した。
友達を追加。そう、友達以外、なにがある?



「ありがとうございます!急にごめんなさい。笑」

『あーいいよー!大丈夫!じゃ、俺そろそろ行くね。気をつけて帰ってねー』

「はい!お疲れ様でしたー!」

『お疲れー』



そこで俺の中では、おしまいだった。
女の子からLINEを交換しよう、と、言われることは滅多にないけれど、あったとしても多分俺の鈍感さなら気づかないだろう。



その時も、気づかなかった。


〈つづく〉



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